ルールおよび条件について


このページでは、本作品集で使用されているフェアリールールおよび条件について説明します。

ルールとは、「ばか詰」とか「自殺詰」とか、目的の部分を指します。複合させることはできません。これに対して条件とは、「打歩」とか「安南」とか「キルケ」とか、駒を動かすときの条件を指します。これらは複合させることができます。(※ この使い分けはチェスプロブレムにならったもので、フェアリー詰将棋の中では、まだ一般的ではありません (^^;

将棋と基本的な部分が異なるものは、とりあえず、ルールと考えることにしました。「衝立詰」とか「京都詰」がこれにあたります。ただし、これらは複合が可能なものもあり、首尾が一貫していないという問題はあります。

まずは、ルールの説明です。

名称
説明
詰将棋
攻方はとにかく詰むように王手し、受方はなるべく詰まないように逃げ、受方の玉を詰める。いわゆる詰将棋。なんらかの条件が付加されると「○○詰」のように表記されることが多い。
かしこ詰
攻方はなるべく詰むように王手し、受方はなるべく詰まないように逃げ、指定手数以内で受方の玉を詰める。いわゆる詰将棋との違いは、指定手数より長い詰手順が不正解になる点。
ばか詰
攻方はなるべく詰むように王手し、受方はなるべく詰むように逃げ、指定手数以内で受方の玉を詰める。
ばか自殺詰
攻方はなるべく攻方の王が詰むように王手し、受方はなるべく攻方の王が詰むように逃げ、指定手数以内で攻方の王を詰める。
悪魔詰
攻方はなるべく詰まないように王手し、受方はなるべく詰まないように逃げ、指定手数以上で受方の玉を詰める。
最善次善詰
攻方はなるべく詰むように王手し(最善)、受方はなるべく詰まないように次善の手で逃げ、指定手数以内で受方の玉を詰める。かしこ詰に攻方の受方の各手に対する1回の拒否権を加えたもの。受方に代わる手がない場合には、拒否は無効。
ばか自殺ステイルメイト
攻方はなるべく攻方の王がステイルメイトになるように王手し、受方はなるべく攻方の王がステイルメイトになるように逃げ、指定手数以内で攻方の王をステイルメイトにする。ステイルメイトとは、手番のとき王手は掛かっていないが合法な指手が一切存在しない状態をいう。
ばか千日手
攻方はなるべく元の形に戻るように王手し、受方はなるべく元の形に戻るように逃げ、指定手数以内で元の形に戻す。
ばか手順
攻方はなるべく目標の形になるように王手し、受方はなるべく目標の形になるように逃げ、指定手数以内で目標の形にする。
連続詰
攻方が指定手数以内で連続して指して詰める。最終手以外では王手してはならない。また、自玉が受方の利きに入ってはならない。
連続ばか詰
受方が指定手数の1手前まで連続して指し、最終手だけ攻方が指して詰める。受方は王手してはならない。また、自玉が受方の利きに入ってはならない。
連続自殺詰
攻方が指定手数の1手前まで連続して指し、最終手だけ受方が指す。このとき、受方に攻方の王を詰めることを強制しなければならない。攻方は最終手の1手前以外では王手してはならない。また、自玉が受方の利きに入ってはならない。
連続ばか自殺詰
攻方が指定手数の1手前まで連続して指し、最終手だけ受方が指して、攻方の王を詰める。攻方は最終手の1手前以外では王手してはならない。また、自玉が受方の利きに入ってはならない。
衝立詰
受方の指手は衝立将棋における情報しかわからない。攻方が衝立将棋における反則手を指した場合は、代りの手を指せる。反則は8回まで可。
京都詰
「京都将棋」の詰将棋。「京都将棋」は俗称で、正式名は「ミニ将棋」、別名「京都銀閣金鶏飛譜」。5×5の盤と、裏表の関係が香/と、銀/角、金/桂、飛/歩(別名の通り)の駒と王(玉)の5種各2枚の駒を使用する。王(玉)以外の駒は、1手指す毎に必ずその駒を裏返す。打つときはどちらの面で打ってもよい。利きのない駒、二歩、打歩詰は禁手にならない。
寝済の花嫁
左向きの銀(=姫)を左向きの金(=子)で詰める。必ずバックで詰め上げること。姫は敵陣に入ると成って左向きの金になるので詰められなくなる。
詰禽将棋
「禽将棋」の詰将棋。江戸時代に指された将棋の一種。王/玉=鵬(周囲8方に1歩)、銀=鶴(前後3方に1歩)、香={左右}鶉(名前の左右の斜め後ろ1歩、前方および逆方向の斜め後ろへの走り)、桂=雉(前と斜め後ろに1間跳び)、角=鷹(真後ろを除く7方に1歩)、馬=G(斜め前と真後ろへの走り、前と左右に1歩、斜め後ろに2歩)、歩=燕(前に1歩)、と=鴈(斜め前と真後ろに1間跳び)。
0手詰、1/6手詰、1/2手詰、etc.
ユーモアとエスプリを楽しむルール。

続いて、条件の説明です。

名称
説明
安南
同じ側の駒が縦に並ぶと、上の駒の利きは下の駒の利きになる。
安北
同じ側の駒が縦に並ぶと、下の駒の利きは上の駒の利きになる。
対面
相手側の駒と向かい合うと、互いに利きが入れ替わる。「対鮮」ともいう。
背面
相手側の駒と背中合わせになると、互いに利きが入れ替わる。
天竺
玉(王)の利きが王手をした駒の利きになる。
マドラシ、Kマドラシ
同種の駒(生駒と成駒は区別する)が互いの利きに入ると、利きがなくなる。玉と王を例外とするものを単にマドラシ、玉と王も例外としないものをKマドラシと言う。
キルケ
取られた駒が取られた位置に最も近い将棋での指し始め位置に戻される。すでに駒がある、二歩禁などで駒が戻せないときは取った方の持駒になる。
ネコ鮮
同じ側の駒が縦に2枚以上並ぶと、上からn番目の駒は下からn番目の駒と互いに利きが入れ替わる。
打歩
打歩で詰めなければならない。打歩以外の詰手は禁手。
打駒
最終手は駒を打つ手でなければならない。打駒以外の詰手は禁手。
条件詰
詰め方になんらかの条件をつけたもの。例えば、「順列七種合(歩〜飛)かつ順列六種不成(歩〜飛)かつ還元玉」。
攻方取禁
攻方は駒を取れない。詰上りの判定は通常のばか詰と同じ。
取禁
双方とも駒を取れない。詰上りの判定は通常のばか詰と同じ。
全取禁
どのような状況でも駒を取れない。したがって、詰上りの判定でも、駒を取らずに王手を解消できない場合は詰となる。
成禁
敵陣三段以内に駒が進んでも成れない。
禁欲
駒を取らない手があれば、その中から選択しなければならない。駒を取らないと王手を解消できない場合には、その限りではない。
強欲
駒を取る手があれば、その中から選択しなければならない。駒を取ると王手を解消できない場合には、その限りではない。
マキシ
受方は駒の移動距離の最も長い手を選択しなければならない。打つ手の移動距離は1とする。
駒詰
玉(王)が指定駒の性能になる。(フェアリー駒について参照)表記については、当初「駒(騎)詰」のようにしていたが、不自然なので「ナイト玉詰」のように変更した。ところが金の性能の王を詰めるとき「金玉詰」となってしまって具合が悪いとのクレームがつき、さらに「ナイト王詰」のように「玉」から「王」に変更し、現在に至っている。また、従来から「クイーン詰」という呼称もあったりして、「王」または「玉」がついていない場合もある。
ずっと以前に駒詰とは別に「金玉詰」、「桂玉詰」という条件が提案されていた。
王Q詰
受方の玉だけがクイーンになったもの。一般的な呼称ではない。駒詰の変形として、単に「クイーン詰」と呼称されることもある。
逆王手
受方は、常に逆王手しなければならない。「王Q詰」との組合せで用いられる。
玉位置[xy]
詰めるとき、玉の位置が指定されたところでなければならない。
限定
持駒を余さずに指定手数で詰めなければならない。
二枚
詰上りで、攻方の駒が2枚以内でなければならない。
ボカスカ詰
盤上にある味方の同じ種類の駒を、すべて同時に同一方向に動かす。動かせない駒があれば、動かせるだけ動かす。成・不成は1枚毎に自由。持駒も同じ種類の駒はすべて同時に打つ。ただし歩だけは例外で、打つのも動くのも単独。
踊り将棋
盤上の駒はそれぞれその利きの方向に本来の距離の2倍まで移動することができる。ただし、他の駒を跳び越すことはできない。
小踊り将棋
盤上の駒はそれぞれその利きの方向に本来の距離の半分だけ移動することができる。すなわち、枡と枡の間の線上、交点に移動することができる。また、これらの位置に駒を打つこともできる。
ホッパー将棋
盤上の駒はそれぞれその利きに対応するホッパー(他の駒を飛び越えて本来の2倍の距離を動く)の動きができる。
オール交換駒
相手の駒を取ると、自身は相手の駒台に移動する。本来、交換駒はこのような特性をもつ駒のことであり、「オール交換駒」はこの特性がすべての駒に適用されたものである。
ドーナツ盤
9筋が1筋と繋がっており、9段目が1段目と繋がった将棋盤。例えば、11の金は、19や91や99に行くことができる。
桂玉詰
歩の利きは、王(玉)と桂の位置関係のベクトルになる。例えば、王が18,桂が16にあれば、同じ側のすべての歩は前方2枡目に利く。このとき、桂馬のように途中の枡は飛び越える。(だから、玉詰)
金玉詰
歩の利きは、王(玉)と金の位置関係のベクトルになる。例えば、王が18,金が16にあれば、同じ側のすべての歩は前方2枡目に利く。このとき、桂馬のように途中の枡は飛び越える。(「桂玉詰」の変種?)
イコール
受方は攻方の王手と同じ長さ(移動の距離。打は距離0)の手で王手を回避しなければならない。