JEWEL BOX #05
2008/05/11 出題
第5回目の作品展です。
11問、15図、17解。お楽しみください。
解答締切は2008年06月13日(金)です。解答よろしくお願いします。

PDF版は こちら から。

ルール説明
【騎】チェスのナイト。八方桂。
【安南】味方の駒が縦に並ぶと、上の駒の利きは下の駒の利きになる。
【ナイトライダー】 フェアリーチェスの Nightrider(夜騎士)。ナイト方向に走る(同一方向に障碍物がない限り連続的に動く)。
【ナイトライダー王】王の性能(利き)がナイトライダー。
【キルケ】駒が取られると最も近い将棋での指し始め位置に駒が戻される。戻せないときは持駒になる。
【打歩】打歩で詰めなければならない。
【協力詰】先後協力して最短手数で受方玉を詰める。
【最悪詰】攻方はなるべく相手玉が詰まないように王手し、受方はなるべく早く自玉が詰むように応じる。
【ばか自殺詰】先後協力して最短手数で攻方王を詰める。
【ばか自殺ステイルメイト】先後協力して最短手数で攻方をステイルメイトにする。
【協力千日手】先後協力して最短手数で最初の局面に戻す。
【協力手順】先後協力して最短手数で指定局面に到達する。
【プルーフゲーム】指し始めの局面からある局面に至る、与えられた条件を満たす手順を求める。
【推理将棋】会話形式で条件を示すプルーフゲーム。

2008/06/15 結果発表
解答者は、永澤廣知さん、たくぼんさん、神無七郎さん、小峰耕希さん(解答到着順)の4名。
解答状況の一覧は こちら から。

2008/06/21 追記
橘さんのブログでの感想を引用・追記しました。
「実は解答期限を一日勘違いしていまして解答出来ませんでした

半分は木・金と忙しかったのもありますが・・・ここに自力解答した分の感想を書いておきます・・・解いたのは1番・2番・3番・4番・5番・6番・7番・9番です」

2007/06/14 神無七郎
解答者たったの4名ですか… これは思った以上に少ないですね。
確かに難しい問題は多かったものの、地道に解けば解ける作も多かったので、この結果は残念です。

面白かったのは、第3番でたくぼんさんがb)の方が難しいと言ったこと、そして第8番で市村さんがb)の方が難しいと言ったことでした。
同じ問題でも人によって難易の感じ方が全然異なるのがフェアリーらしいと思います。

2007/06/14 たくぼん
本当に解答者数が4名とは少ないですね。
1題だけの解答の方(頭が下がります)が2名ですので、 ほとんど私と七郎さんだけですか・・・。
何だかせつなくなってきました。
明日開催のアンチキルケ・PWCばか詰作品展も心配です。

3番と8番の件は全く私もビックリでした。
面白いものです。

2007/06/15 小峰耕希
いやはやほんと全然解けなくて申し訳ない感じです。
新規解答者開拓には多少貢献出来たみたいで、 その点はせめてもの救いですが。

問題 解答・解説・感想
第1番 赤土陽一
「メグルメクヒビ」




b) 64桂 → 64銀



74銀 88馬 77飛 同馬 65玉 55飛 まで 6手

b)
54銀 同馬 66玉 57銀 同龍 76飛 まで 6手

作者
詰め上がりは、第一回偶数手数バカ詰展同様陳腐かもしれません。
元々は、攻方が二枚しかないのにいきなり一枚に減らすというのを狙って作っていたのですが、Jewel Boxでtwinが多かったので、探してみたら、たまたま、bパターンが見つかった次第です。
aパターンとbパターンでは飛車と馬が入れ替わり、壁も玉て同様に74、64、65から77、67、66へと5、6段目を挟むラインで対照移動していて、さらに、初手の銀も左右にスイッチしてtwinの意味付けが巧くいったと思います。手順自体は初手さえわかれば、あとは、すらすら進むかと思います。

たくぼん
これはやられた!合駒が出るとは予想外。
b)
こちらは一目。捨駒はきれい。

神無七郎
題名の“メグルメク”が引っ掛かりますが(なぜ“メクルメク”じゃないの?)、 左右に分かれる銀の動きと、上下逆の詰上りが対比されて 作品自体はきれいにまとまっています。

橘圭吾
b)の方は結構見えたのですがa)は飛車を取る筋が見えずに苦労しました。七郎さんも感想に書かれていますが対比が綺麗だなと関心しました。

第2番 小峰耕希



受方持駒:なし

注1:受方玉の性能はナイトライダー(夜)です。
注2:受方持駒制限があります。

ヒント:59玉が92で詰上ります。

83夜 同玉 84歩 71玉 17馬 62夜 同馬 92玉 35夜 まで 9手

作者
テーマ(といっても偶成なんですが)は"夜合"。
全検のやり直しをしていたら、↓が発掘されたのですが、
ナイトライダー王協力詰 26馬35夜 +歩, 44玉 @+#9
これだと序がとろいので、夜の足の長さが活きるように改作してみました。

たくぼん
すぐにヒントを見ました(笑)詰上りの形は2つしかないようなので1つずつ検討していくと全てダメ。
全部の手を調べたはずなのに・・・相手に渡して合駒する順がありました。これはこのルール知らないと解けないかも。

神無七郎
予備知識が無かったら、貴重な「夜」を失う初手は絶対指せません。
手数順とはいえ、最初からこんな難問ではかなりの人が脱落しそう。

橘圭吾
迷わずにヒント見ました。 何処かで「馬」と「夜」は相性が悪いというのを見た記憶があります。 いきなり捨てる「夜」の手が意外性十分でした。

第3番 神無太郎



b) 41玉 → 51玉



53桂 52玉 16角 34飛 44桂 53玉 45桂 44玉 56桂 45玉
27角 56玉 38角 同飛成 まで 14手

b)
24角 33飛 43桂 52玉 44桂 43玉 55桂 44玉 35角 55玉
46角 同玉 38桂 同飛成 まで 14手

作者
森茂さんの未発表作整理中に拾った作。

たくぼん
こちらは予想された順でステイルメイトに出来ました。次への伏線ですね。
b)
一番最後まで残った作品。(a)と同様の筋で27角 同飛成までを予想したのがはずれ。最後に桂を残すとは・・・。

神無七郎
これもまた難しい。
合駒をすぐに発生させず、最後も桂でなく角とは!
16手の紛れが多いことも解図を困難にしています。
b)
うーん、a)がなければこれも立派な作ですが、 前問を解いた後だと「引き立て役」にしか見えない…

橘圭吾
最初は27飛成迄と38飛成迄による対比かと思っていたら全く巧く行かないので方向転換しました。 こういう手順とは意外でした。

第4番 伊達悠
「連立2元3次方程式」




2解

b) 27香 → 27歩



2解

39香 38角 同香/22角 37角 同香 36香 13角 同角/88角 36香/11香 46玉/29桂
55角 57玉 46角 同角/88角 まで 14手

39香 38金 同香/41金 37金 同香 36飛 26金 24玉 16金 26香
同香/11香 同飛 15金 同香/49金 まで 14手

b)
39香 38角 同香/22角 37角 同香 36香 13角 同角/88角 36香/11香 46玉/29桂
55角 57玉 46角 同角/88角 まで 14手

39香 38飛 同香/82飛 37飛 同香 36桂 25飛 同玉/28飛 26歩 16玉
18飛 27玉 28飛 同桂成 まで 14手

作者
お久しぶりです、伊達です。 受験勉強でそろそろ本格的に忙しくなってきはじめる季節ですが、一作(いや二作か?)送ります。
最初は作意が一つだけだったのですが、FMで余詰め検討をしているうちに突然2解で統一されてしまいました。 さらに、1枚減らそうとしているうちに双子作品が完成してしまうというラッキーな事態になってしまいました。
一応双子作品でそれぞれ2解、そのうちの1解は同じ解ですので、「連立2元3次方程式」と命名しようと思います (数学的には解くことができませんが^^)。
両方とも14手で、ギリギリ中編ではないのですが、前回の小峰氏や小林氏の作品群のこともありますのでよろしく お願いします。

出題時、題名未掲載でした。失礼しました。

たくぼん
角合の順は一番詰上りが予想しやすい形でしたが上手く出来ています。最後に解けたのが金合の順。飛合香合とこれは読みにくい。
b)
飛合の順は大駒の割りに地味な手順。2番目に解けました。角合がダブるのはちょっと・・・ですねえ。

神無七郎
2解に相違点と共通点が適度に混じっており、一応複数解にした意味はありますね。
ただ、両王手で詰む筋の方が主で、もう一方の筋が付け足しという印象は拭えません。
b)
こちらは本当に複数の解があるだけ。解の片方もa)と同じでちょっと残念。

橘圭吾
キルケルールなので迷わず最初に解図したんですが、 個人的にはこの2解は単に余詰が出たから2解にしたという印象しかなかったので凄く味悪かったです。

第5番 橘圭吾



受方持駒:なし

76歩 34歩 44角 33角 53角生 24角 31角生 33桂 13角生 22飛
82銀 21飛 22角生 13角 11角生 22角 まで 16手

作者
角のQGC。
前例は橋本哲氏作にあるが単独の作品はないはず。
攻方の手の限定を殆ど駒取りで行っているのは余り嬉しくないが他に良い案もない…というか、簡単に作れるので あっさり妥協。
これから先のProof Gameは駒取りを如何に使わないで創作をするのかが鍵かと思われます。
ただ、そうすると創作難易度はかなり上がりますが・・・駒取りを利用すれば大抵の事は簡単に出来ますので。

永澤廣知
44角の発見は簡単だったけど、22飛82銀21飛の発見ができずに苦戦しましたσ(^_^;)アセアセ...
おもしろいゲームだなと思いました。

たくぼん
後手の角の動きがポイントでした。お見事。

神無七郎
角が大活躍する手順。先手の角の動きは取る駒のことを考えれば普通ですが、 後手の角が一回転するのはなかなか面白かったです。
素直な手順なので解くのは楽でしたが、作る方は大変なのでしょうね。

作者
自作です。 個人的には、先手の手をもう少し何とかしたいんですが・・・ これが意外に難しい(まぁ、意外でも何でもなかったですが・・・)

第6番 橘圭吾
「過去への執着」


推理将棋 16手

日和「過去にいなかった地点への連続着手ばっかりじゃないですか?」
泉「私が6連、鏡が5連…こっちの方が頑張ったのに負けたよ」
鏡「16手詰!」
泉「終局時、私の歩は初形位置で1枚取られた以外は全て初形位置だったね」
日和「あれ?動かした駒は4手目迄に一度動いてるっすね」

1)16手詰
2)互いの着手は4手目迄には一度動いた駒のみ
3)先手は6連続で同じ駒を過去にいなかった地点へ動かした
4)後手は5連続で同じ駒を過去にいなかった地点に動かした
5)終局時、先手の歩は初形位置で1枚取られた以外は全て初形位置だった

作意
72飛 14歩 68玉 13角 52玉 15歩 48玉 16歩 38玉 17歩生
28玉 18歩生 17玉 19歩成 28飛 35角 まで 16手

作者
連続系の作品。
狙いは飛車のスイッチバックだが誰にも気付かれずにひっそりと消えていきそうな作品 スイッチバックする意味付けがこの詰上り。

たくぼん
この収束型に気が付くかがポイントでした。楽しく考えることが出来る作品です。

神無七郎
最後に飛が戻るのは連続着手の範囲外だから良いんですよね?
角でなく歩が活躍するという、それらしい手順が出てきたので 作意だとは思うのですが、文章解釈が合っているかちょっと心配。
あと、問題文が「会話」でなく条件の羅列になっているので、 ここはもう少し推敲して欲しいです。

作者
推理将棋ですが、やっぱり飛車のスイッチバックには余り評価なかったですね・・・ 会話が条件の羅列になったのは反省点です。 今度出す時にはきちんとマシな会話にしたいと思います。

第7番 神無七郎



19飛 29香 18玉 27銀 17玉 18銀 同飛生 26銀 16玉 17銀
同飛生 25銀 15玉 16銀 同飛生 24銀生 14玉 15銀 同飛 24と まで 20手

作者
ありきたりな趣向作ですが、受先形式にして要の飛を打つ手から始めら れたので投稿します。変化・紛れは特に説明の必要はないでしょう。

たくぼん
久しぶりに最悪詰を解きました。これで軽趣向にしちゃうんですから恐れ入ります。

橘圭吾
ずっと19手で考えていたのですっごく苦労しました・・・ 気づいた時には本当に悲しくなりましたが・・・ 軽趣向の好作です。

第8番 小峰耕希



受方持駒:なし

b) 出発:上図、到達:下図



受方持駒:なし

37龍 16騎 17歩 同と 27龍 35騎 37龍 36歩 26龍 47騎
27龍 37歩成 36龍 28騎 26龍 27と左 17龍 36騎 16龍 26と
25龍 57騎 55龍 36騎 46龍 28騎 まで 26手

b)
48龍 16騎 18龍 35騎 15龍 47騎 48歩 同と 17龍 35騎
37龍 36歩 46龍 27騎 47龍 37歩成 38龍 19騎 39龍 27騎
28龍 46騎 まで 22手

作者
こちらも駒詰偶成物。わざと駒を取らざるを得ないように配置し、fmに掛けたらうま い具合に唯一解w 花駒はどこまで必要なのかよくわかりませんが、枠外飛び出しの余 地を残すと検討時間がかさむので、このままにします。
枠の形や、枠外に出る筋の活用、花駒の工夫(歩を置く筋とか)等、他にもいろいろな 表現の仕方がありそうな気がします。
あと市村さんから感想を頂きました。折角なので転記致します。
(氏は解答が遅れたと仰っていますが、その期間はせいぜい10日程度です)

市村道生さんのコメント
(解答が)遅れた理由ですが、詰パラ4月号、フェアリーランド5(中村氏作)の解答 に手間取っていた事もありますが、貴兄の作品が、短手数の割りに意外に難解であった からです。
特に、b)題の方ですが、歩捨て〜歩合い〜歩成のコースまでの導入部が長く、おまけに 、騎の八方跳びの派手な動きに眩惑されて、手順の整理に苦労しました。
両題ともに、溌剌とした若駒のギャロッピングが連想される手順で、中々の好局と思い ます。

たくぼん
ひたむきに駒を動かすが結構悩んだ。3、4手目が心理的妙手といえようか。
b)
こちらは意外と早く解けました。(a)解く時に考えた順だったので・・・。

神無七郎
これは信じ難い展開。37とを取る初手もやりにくいですが、 26とをそっぽに動かす3、4手目は完全に盲点でした。
ほとんど虱潰しで解くことになりましたが、解けた後でもまだ これが最短順であることが不思議でなりません。
b)
こちらはa)の解図の途中で出てきた紛れ手順そのまま。
こっちを先にして、a)のヒントという位置付けにした方が 良かったと思います。

橘圭吾
因みにこれで躓いてたくぼんさんの作品が解けませんでした。。。 作意を見ても素晴らしい作品ですね。

第9番 たくぼん



39と 18玉 29と 17玉 28と 16玉 27と 同玉 28歩 同玉
29歩 17玉 18歩 16玉 17歩 同と 28桂 同と左 17歩 同玉
18歩 27玉 28歩 同と上 39桂 37玉 29桂 26玉 27歩 16玉
17歩 まで 31手

作者
簡単な趣向作2題と、と金密集シリーズ最終作です。

神無七郎
と金のはがし方を丁寧に読めば、期待通り突歩の詰上りが 出現する気持ちの良い作品……と思ったのですが、 よく見れば36とは不要。これは痛い。

橘圭吾
いや〜最後は予定通りの突き歩ですが結構楽しかったです。

第10番 たくぼん



39歩 47玉 48歩 同玉 49歩 57玉 58歩 同玉 59歩 67玉
68歩 同玉 69歩 77玉 78歩 同玉 79歩 87玉 88歩 97玉
98歩 86玉 87歩 98玉 99歩 97玉 98歩 42玉 43金 34玉
33金 同桂 35金 26玉 25金 同桂 27金 18玉 17金 同桂生
19歩 まで 41手

小峰耕希
最初、前半で玉の性能を錯覚して歩を余らせました(^^;

神無七郎
安南版くるくる。
趣向自体は既存の筋ですが、前半の趣向が後半に繋がるのは 予想外で楽しかったです。

第11番 たくぼん



38角 同玉 16角 27角 同角 29玉 18角 38玉 29角 37玉
28角 26玉 18桂 同と 37角 17玉 28角 16玉 38角 27桂
同角 25玉 17桂 同と 36角 16玉 27角 15玉 37角 26桂
同角 24玉 16桂 同と 35角 14玉 36角 25桂 同角 15玉
24角 26玉 15角 27玉 36角 28玉 37角 17玉 29桂 まで 49手

神無七郎
難解な密室パズル…ではなく、軽妙な趣向作でした。
一見無意味な角の往復で玉の位置を修正する手順に ばか詰の特徴がよく出ています。
マニアだけでなく、多くの人に知って貰いたい好作です。

総評など
たくぼん
超難解作がなかったので、結構楽しく解くことが出来ました。やっぱりいろいろなルールがあると楽しいですね。

神無七郎
今回は難問も多かったですが、良問も多かったので満足できました。
一番印象に残ったのは第8番a)です。
また、今回はツインや複数解の出題が多かったのですが、残念ながら 一方が他方の引き立て役になっているものがほとんどだったように思います。
元々ツインや複数解は短編文化の産物ですから、中編にそのまま持ち込んでも 成功は難しいと思います。何か工夫がないと。

小峰耕希
殆ど解く時間取れませんでした…。いや、取らなかっただけか…。
今から少しでも解き直そうかなー。(←この台詞、実行した事殆ど無い…)

橘圭吾
8番と解答締め切りの勘違いがなければ・・・残念・・・