フェアリー別館 第13回
2007年08月01日: 課題発表:17手以内(協力詰)
2007年09月28日: 投稿締切
2007年10月01日: 出題
2007年10月02日: 追加出題:13-07、13-08
2007年10月28日: 解答締切
2007年11月01日: 結果発表



出題

 今回は「17手以内」という課題。短編ゆえ、新味が出せるかどうかが重要でしょうか。 集まったのは、4氏から6題。手数から入門編といった趣もあり、解くには手ごろでしょう。 大いに楽しんでいただきたいと思います。
 解答締切は10月28日(日)。次回の希望課題についても書き添えていただけたら幸 いです。
酒井博久



追加出題:13-07、13-08

 小林看空氏作は、メール事故のため締切後に到着しました。 追加出題という形にさせていただきます。事故とはいえ、作者にご迷惑をかけたこと には変わりないので、お詫びいたします。
酒井博久



結果発表

 今回は「17手以内」という課題です。解答者は全部で6名でした。

小峰耕希−月末になってから慌てて解き始めたのが災いし、無解が2つ出てしまいま したが、ともかく解答します。

香箱−はじめまして、香箱と申します。3番、今日(10/28)まで粘ったが降参です。

赤土陽一−解けた分だけ解答を送ります。

 全題正解者は、上記を除く3名(たくぼん・橋本孝治・隅の老人B、敬称略、解答到 着順)です。初解答があったのは収穫でした。
酒井博久



13-01 赤土陽一 命名『乙姫は一人』


12金 同玉 11金 同龍引 22金 13玉 23金打 まで 7手

赤土−高校生の時に作ったものを一作投稿させていただきます。
 えぇ〜、まぁ、インパクト勝負ですね。二枚の龍を隅に押し込んで無能化させる点 を面白いと思っていただければ幸いです。

たくぼん−今までにありそうな作品だが、多分ないだろう。金4枚の使い方が上手 い。

橋本−12金から11金は「ちゃんと分かっている」人が作った協力詰の証明。
 同一作がないかフェアリーデータベースで調べてみましたが、大丈夫なようです。

隅の老人B−初手は絶対、続いて同玉。次の一手のばからしいこと。

小峰−手順より先に詰上りが見えるタイプの問題。

香箱−11同龍引、めくれた座布団を直します。

★簡単ながら、まずは幕開けに相応しい作品でした。

赤土−命名の由来は龍宮城が四度にわたって買収された結果、王様は捕えられ、乙姫 だけが残された…というのが主題です。初期配置が龍宮城に見えて欲しいのですが・ ・・。



13-02 たくぼん


56角 73玉 65桂 83玉 73桂成 93玉 83角成 まで 7手

隅の老人B−初手は、これしかない。さてと、これは偶数詰ですね。

橋本−角筋を塞ぐ桂ですが、盤の端なので見え易かったです。

赤土−これは一目で解けました。桂で塞いで空き王手は見たことありますからねぇ。

小峰−作者得意(?)の角+桂による両王手。

★作者得意のパターン。常連の方にはおなじみになってしまいましたか。

たくぼん−姉妹作で78角→76角、77桂→持駒の7手も創ったけどイマイチでした。

★こちらのほうが、桂を温存しているぶん読みにくいかも。



13-03 たくぼん


45角 55玉 64銀生 65玉 66銀 74玉 73銀成 64玉 63角成 まで 9手

橋本−これは今回最後まで残った難解作でした。
 結局頭の中だけでは解けず、盤を引っ張り出して何とか攻略。馬を取る紛れに惑わ され、銀の裏を通るような手順が盲点になりました。

隅の老人B−あっちこっちに逃げられて、大弱り。お金があればなぁ。

★無解者3名の難解作。紛れが多い上に詰上りが見えづらいです。

たくぼん−頭2手省くと玉方の飛角3枚は不要。紛れ重視で2手逆算したけどそんなに 紛れが増えてはなかったか。シンプルな7手のほうが良かったかもしれない。

★紛れとの兼ね合いは難しいところですが、3枚も減らせるのは大きいですね。効率 を重視する作家であれば、7手のほうを選ぶでしょう。



13-04 小峰耕希


19香 18角 同香 17角 同香 25玉 69角 58龍 43角 まで 9手

小峰−初手香打ちに対して、龍+馬移動合(氾濫26-05)と龍+龍移動合(九G別館 10-05)を既に発表したので、今度は馬+馬の連続移動合を目指して創作を開始した のですが、何故か角+角打合に収まりました。

たくぼん−なるほど!と徐に膝を打つ。

隅の老人B−成る程とは思うが、感銘はなし。簡単に解けて、ハイ、一丁上がり。

★好対照の評価です。

橋本−こういう合駒なしの詰上りは珍しいので、結構いろいろなネタが残っていそう な気がします。特に中段から上段が狙い目ですね。

赤土−盤上の玉方の駒は花駒と思いきや、余詰防止や本手順などにしっかりからんで いてむしろ花形ですね。

小峰−出題開始後に思ったのですが、22龍と12香を入れ替えた方が、最終手がより強 調されて良かったかも知れません。

★そちらのほうが良いでしょうね。52に龍の利きがなくても、最終手は限定されてい るわけですから。



13-05 神無太郎


29桂 16玉 28桂 15玉 27桂 24玉 16桂 23玉 15桂打 13玉 23桂成 14玉 24圭 まで 13手

隅の老人B−死刑の宣告? 13手ではムリ。惰性で6手目も14玉、ハテナ?です。

香箱−4手目25玉として37桂と跳ねたくなるが。

たくぼん−桂馬が1ヵ所しか打つところが無いように逃げれば自然に詰むのに、つい つい3五の歩を取りに行ってしまう。一番時間がかかった問題です。

★今回では13-03に次ぐ難解作。皆さん、二枚の歩に惑わされたようです。

橋本−非限定との戦いは一勝一敗。36歩が勝ちで35歩が負け。この2枚は絨毯爆撃の 結果を踏まえての結果でしょうか。

★どうなんでしょう? 作者のコメントがないので不明です。



13-06 神無太郎


47角 67玉 56角 58玉 47角 68玉 69歩 78玉 56角 67飛 同角 79玉 89飛 まで 13手

赤土−左右対称が二回でてきますが、二回は無いだろうと思って違う手順ばかり追い かけてしまいました。

★初手と2手目は、A(47角、67玉)とB(67角、47玉)の二通り、また5手目と6手目 もC(47角、68玉)とD(67角、48玉)の二通りがあります。作意順は 右から攻めるACの組合せですが、この順を答えられたのは橋本・香箱の2氏でした。 隅の老人B・小峰両氏は、左から攻めるBDの組合せ。たくぼん氏は、不規則なADの組 合せ。そして赤土氏は、両様ある場合はカッコ書きで補足される丁寧な解答でした。
 紛らわしいので、短評の表記は作意に合わせて書きかえた部分があります。悪しか らず。

たくぼん−早く合駒が欲しい心理の裏を突く5手目が好手。

小峰−第一感は4手目から68玉、69歩、同玉でした。
 角の細かい往復運動がアクセントになってはいますが、大駒を大きく使うのが好き なせいか、この手順はやや窮屈に感じてしまいます。

橋本−ついつい歩で王手したくなる5手目がポイント。この形ならこれだけでも価値 があるでしょうね。

★洗練された初形は、作者の特長の一つですね。

隅の老人B−金合ばかりを考えた。貧乏人の習性? 情けないなぁ。

★本作の原図は、99玉、89金までの詰上りでした。



13-07 小林看空 命名『秋の七草』


34飛 44香 36桂 同と上 55歩 同と寄 65銀 同桂 53金 同玉 54香 62玉 51角 まで 13 手

看空−七種持駒の最短手数作。それだけです。

★条件作ならこの人。さりげなく難条件をクリアされました。

小峰−森茂さんの追悼作品展で、最悪詰の持駒7種(北村作)がありましたが、創作 難度はどちらの方が高いんでしょうね。

★北村さんのを解いていないので何とも言えませんが・・・。

赤土−金を残したくなりましたが、71と、72歩の配置のおかげで気付き易かったで す。

隅の老人B−13手詰、持駒は7、打って行けば終わる筈。香合以外は逆王手、易しく解 けて、それでも万歳!

たくぼん−最短手順の持駒一式図式ですね。創り手から見るとさすがとは思うのです が、解答者としてみれば物足りなさが残ります。

★ここでも対照的な評価のお二人です。

香箱−5手目、歩が先。8番の香先香歩と対になってますね。

橋本−13手詰の7種持駒趣向が13-07に配置されているのは天の配剤か? 意図的なも のでないならメール事故様様ですね。

★ともに気づきませんでした。言われてみれば、なるほど、ですね。



13-08 小林看空


26桂 同銀 15香 同玉 14金 同飛 24角 同玉 15銀 34玉 44金 25玉 14銀 同玉 15歩 13玉 14飛 まで 17手

看空−七種持駒崩れの香先香歩。もう一枚飛車があれば、七種持駒での飛先飛金が加 わったのだが・・・。

小峰−香先香歩に騙された!

橋本−持駒一式の出来損ないかと思っていたら、序に思わぬ罠が! 協力詰版香先香 歩。

隅の老人B−推理小説に”slow poison”という言葉がある。ハイ、「待った」をしま した。確かに効き目は遅かった。

たくぼん−いや〜これはすばらしい。これほど効果が現れるまでが長い香先香歩が協 力詰で見られるとは思いませんでした。Fairy TOPIXの有力候補ですね。

★3手目15歩だと15手目15に打つ駒が香となり、詰まなくなります。

香箱−序の凝り形をほぐす順は見当が付いたが、44金以下が見えづらかった。

★さて、盤面16飛と持駒の金を入れ替えて、作者の言う七種持駒+飛先飛金は成立し ないのでしょうか? 14飛〜44金というわけですが、残念ながら成立しないのです。 というのは、収束で14銀、24玉、25銀、13玉、14飛という余詰順があり、これを防ぐ には16飛の配置が絶対だからです。この余詰順は作意と紙一重だけに、構図の変更も 利きません。誠に残念です。
 しかし、本局の香先香歩が秀逸な狙いであることには変わりありません。飛先飛金 は、また別の作品で期待しましょう。



総評など
たくぼん−短手数で考えやすいものが多かったのでとても楽しく解図することが出来 ました。

橋本−月初めの解図が順調に行くと、やはり気持ちが良いですね。適度な難度で、し かも面白い作の多い良い回だったと思います。

隅の老人B−何時も、九州Gを楽しんでいます。今回は短編ばかり、それでも解けて嬉 しかったですよ。

小峰−ここ1ヶ月ほど指将棋に凝ってた影響で、解図開始が遅れたのが痛かったです が、看空作品だけでも解いておこうと考えたのが良くて、欠勤だけは免れました。
 次回も投稿・解答両方で参加出来るように心がけます。

★今回は特に楽しんでいただけた方が多かったようです。次回も宜しくお願いしま す。



リンク
おもちゃ箱 - 詰将棋メモ 2007年10月01日