フェアリー別館 第12回
2007年05月01日: 課題発表:歩が主役(協力詰)
2007年06月28日: 投稿締切
2007年07月01日: 出題
2007年07月01日: 追加出題:12-03
2007年07月28日: 解答締切
2007年08月05日: 結果発表



課題発表

小峰耕希 - 次回課題案「歩が主役」。協力詰向けで且つ本館連動では不都合なテーマ という事で考えてみました。

 唯一の提案だったのですが、これを第12回作品展の課題として採用します。「歩が 主役」というのはちょっと曖昧かも知れませんが、限定するよりかえってよいかと 思ったからです。
 投稿締切は6月28日です。多数の投稿を期待しています。

(追 記)
 事故(?)で締切内にメールが届かなかったのですが、たくぼん氏から次のような 提案がありました。

たくぼん - 課題・・・思い浮かばないので企画案を。課題を短編ばか詰にして作品数 を集め、出題稿をプリントアウトし全国大会で参加者に配布。ネットで見ら れない方にも郵送で解答が出来るようになんていかがでしょう。

 これは良案ですね。今回(12回)から「全国大会連動企画」として採用することに します。ただし、毎年「短編」というのはどうかと思うので、課題は従来どおり「公 募」の形にしたいと思います。
 よって、今回の課題は、小峰氏案の「歩が主役」とします。たくぼん氏案の「短 編」でもいいのですが、本館課題とかぶる懼れもあるので・・・。 あと、全国大会に誰が出題稿を持参するかですが、大会常連の八尋氏にでも頼んでみ ます。今回はたくぼんさんに依頼する手もありますし。
 作品締切は、上記のとおり6月28日です。念のため。
酒井博久



出題

 今回集まったのは5作。内訳は、太郎氏・たくぼん氏から2作ずつと赤土氏から1 作です。「歩が主役」という課題に、各作者がどのように対応したか、ご堪能くださ い(というには、出題数が少ないですが)。
 なお、今回分については、たくぼん氏案のとおり、全国大会でも出題する予定で す。解答締切は7月28日(土)。多くの方が解図を楽しんでくださることを期待します。
酒井博久



追加出題:12-03

 30日夜、荻絵香木氏から投稿がありました。締切後ですが、せっかく ですので追加しておきます。
酒井博久



結果発表

たくぼん - 過去最高の解答者数になることを期待しています。

 さて、結果はどうだったでしょうか・・・。残念ながら、全然増えませんでした。解答者5名(うち全題正解者4名)です。全国 大会で出題した効果は現れなかったようです。ともあれ、悪天候を押して大会にご参加いただいた、たくぼん氏には感謝しま す。

【全題正解者】(五十音順、敬称略)
赤土陽一・隅の老人B・たくぼん・弘光弘

 唯一、弘光氏から、郵送での解答がありました。あと、詰パラ8月号に紹介記事が載ったのは、収穫でした(作品課題が 抜けていたのはまずかったけれど)。

小峰耕希 - 今日は参院選の投票日としか思ってなかったのですが、よく考えてみたら九G別館の締め切り過ぎてました。
 テーマを提案しておきながら創作がさっぱりで、更に解答も出さずでは気まずいので、遅まきながら送ります。

 小峰氏からの解答は、締切翌日(7/29)でした。世の中、娯楽どころではないのかも知れませんね。

 なお、体調不良等により今回の結果稿作成が大幅に遅れたことをお詫びします。
酒井博久



12-01 神無太郎


55飛 56歩 59飛 まで 3手

隅の老人B - 3手詰で、こんなに考えさせられるとは!トホホッ。

★これは意外な評。盲点に入られたのかも。ところで、本作の「主役」は?

赤土 - 後手の持ち駒は、歩と桂しかないことに気付くのに、少し時間が掛ったとか…桂も主役と思いきや、三枚目ですね。

たくぼん - うむ。なるほどと感じる作品。ただ歩が主役には見えない?

弘光 - 歩合をすると合駒がなくなるというのが、おもしろい。

★初手59飛から入ると、55飛に桂合が可能です。

小峰 - 裏切り者こそが主役(?)

★小峰氏の評が妥当なところでしょうか。



12-02 神無太郎


19飛 18歩 同飛 同玉 19歩 17玉 18飛 まで 7手

赤土 - 先ほどの問題と同じ詰め方かと一瞬疑いましたが、そんなわけないですよねぇ。
 持ち駒は香車2でも同じですよね。(でもインパクトが違うかぁ…)

★前局とは違って、制限されているのは金銀合だけですからね。さすがに巧いものです。

隅の老人B - 最初は、11飛打を考えた。作者ニンマリ。

★持駒を(香2枚ではなく)飛2枚にした効果ですね。

たくぼん - 飛車一枚を使い歩合限定で1九歩を発生させるのはさすが。

弘光 - 香合だと利きすぎて困る。

小峰 - 今回の他の幾つかの作品や、前回の荻絵さんの作品に不利合駒がありますが、完成度は本局が一番と思う。

★短編合駒物で鳴らした作者の片鱗が窺えました。



12-03 荻絵香木


99香 98歩 同香 87玉 88歩 77玉 68金 86玉 77銀 まで 9手

荻絵香木 - 原理図みたいで今一つ気に入らないのですが、まあ存在価値はあるかなと…。

小峰 - 3局続けて狙いが同じでちょっと損したかも。

隅の老人B - 課題に忠実な歩合。素直ですね。

★「素直」と言えばそうなんですが、最も弱い駒に限定するのは、かなり難しいと思います。

弘光 - 6種類の合駒の選択の余地があって、歩合が最善というところがいい。

たくぼん - 2番の太郎さんと同様の歩合限定。金銀合の選択肢があるのでやや深い。

赤土 - お題がなかったら、ニ手目は角合するところでした。(角合なら、九手だよ!全員集合!となるんですけど…)
 その後は銀取りが見えているので分かりやすかったです。

★無理をしているぶん、収束にシワ寄せが来ましたね。作者も不満でしょうが、ある程度やむを得ないとも言えます。
 下の【参考図】は神無太郎氏の旧作です。本局と同一テーマを扱っていますが、突き歩の詰上りが取り柄でしょうか。

【参考図】
海洋地形学の物語/神無太郎/詰将棋パラダイス/1986年11月/完全

ばか詰 9手

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・v香v香|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v玉|七
| ・ ・ ・ ・v龍 飛 歩 歩 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・vと ・|九
+---------------------------+
持駒:香 

19香 18歩 同香 同玉 19歩 28玉 37歩 17玉 18歩 まで 9手


12-04 たくぼん


47歩 同と 37と寄 57玉 58歩 同と 48と 67玉 58と 66玉 67歩 56玉 47と寄
まで 13手

たくぼん - 創った本人は難易度がよく分からない。解答者の反応が楽しみです。

隅の老人B - 歩ばかり山の時鳥では、難しい作品はムリ?

★この評は例外で、他の方は今回の最難解作として本局を挙げられました。小峰氏は本局のみ無解です。

たくぼん - と金を取るタイミングがポイントですが、紛れが少ないので簡単です。

★どうも「簡単」どころではなかったようです。

赤土 - いやぁこれが一番時間が掛ったのなんのって、てっきり、5八歩、5七と、5六玉の形で詰ますと思い込んでしまい、にっ ちもさっちもいかなくなりました。歩が主役なんだから、一手目は歩じゃないと、まずいですね。

弘光 - 玉方のと金を2回動かしてから取るところがおもしろい。

★と金を遠ざけてから取る不利感もあって、筋がとらえにくい作品でした。また、詰上りは左右対称形ですが・・・。

赤土 - 詰め上がりは、さしずめ、「もう鳴らない風鈴」でしょうか? 秋なら、「初成りの柿」かな?(題は勝手に付けたので、 悪しからず…) 

たくぼん - 詰上り象形ですが、意味はありません。しいていえば”枝から落ちる雨粒”といったところでしょうか。

★狙って作られたわけではないようです。



12-05 赤土陽一


62歩生 51玉 61歩成 52玉 62と 53玉 63と 54玉 64と 43玉
54と 42玉 43と 31玉 32と まで 15手

赤土 - はっきり言って、手順は、簡単です。追いかけるだけですからねぇ。(あっ、最後は、と金でお願いしますよ。)

★これは原図のコメントです。最後の言葉から判るとおり、原図の最終手は「と金」「歩成」どちらでも可で、非限定でした。 発表図は、この非限定を消したものです。

たくぼん - 最終手の為だけの飛配置が無念ですね。

★最終手「と金」限定のためやむを得ません。65角配置だと「歩成」限定になりますが、作者の思いは下記のとおりです。

赤土 - 今回は、「歩が主役」というお題でしたが、と歩(徒歩)で玉を追い掛け回した実行犯と裏金を隠したままじっと動か ない黒幕、この作品の中でどちらの歩が主役と言えるのでしょうか? 私は、黒幕のほうが主役だと思いますが、ほかの皆さ んはどのように考えるのでしょうかねぇ?

弘光 - 一段目で玉を詰ますのだが、一旦四段目まで上げないといけないところがおもしろい。

隅の老人B - 詰上がり図がミエミエ。急がば回れの教えもあるぞ。

小峰 - 詰上り想定は容易なのですが、と金の軌道が限定出来るとは思えず、飛を取って詰ます筋から読んでしまいまし た。

★35飛→34飛だと詰上り縦一線になりますが、飛車を取る筋で余詰が生じます。

★なお、作者の姓は「あかつち」と読むとのこと。本人からコメントがありました。



12-06 たくぼん


59歩 57玉 58歩 56玉 57歩 55玉 56歩 54玉 55歩 53玉 54歩 43玉 53歩成 44玉
54と 45玉 55と 46玉 56と 47玉 57と 48玉 58と 49玉 59と 38玉 49と 28玉
39と 37玉 48と 28玉 29歩 27玉 38と 18玉 28と まで 37手

たくぼん - 先手歩が1枚でどこまで手が伸びるか・・・が作図動機ですが、調べていないので記録は分かりません。ちなみにこ れも詰上り象形(巣篭もり)です。
 終盤、手順に37玉、48とが入ったので鑑賞に堪えられるものになったかな。

小峰 - トリが最も素直でした。

★これは「歩が主役」という課題に最も適合しているという意味でしょうか? 詰上りが好評でした。

隅の老人B - 難しいことは言わないよ。詰め上がり図に乾杯!

弘光 - 詰上りが楽しい。

赤土 - 一番長い問題でしたが、詰め上がりはすぐに分かりました。と金が寄るのは一番最後じゃないと、玉方のと金を取る のに手数がかかることに、気付くのに、時間を取られてしまいました。
 一枚の歩がここまで動かれるとねぇ…うーん。構想がかぶったかな?

★手数については、太郎氏に調べてもらいました。少なくとも持駒=歩1枚の最長手数作ではないみたいです。参考まで に、簡素形での持駒歩1枚の長手数作を紹介しておきます(簡素図でなければ、もっと長手数の作品があります)。

【参考図】
古関三雄/詰将棋パラダイス/1972年5月/完全(非限定)

ばか詰 59手

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|八
|vと ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩

19歩 17玉 18歩 16玉 17歩 15玉 16歩 14玉 15歩 13玉
14歩 22玉 13歩成 32玉 23と 42玉 33と 52玉 43と 62玉
53と 72玉 63と 82玉 73と 93玉 83と 94玉 93と 84玉
94と 85玉 95と 86玉 96と 87玉 97と 88玉 98と 89玉
99と 78玉 89と 67玉 78と 56玉 67と 45玉 56と 34玉
45と 23玉 34と 12玉 13歩 22玉 23と 11玉 12と まで 59手


総評等
たくぼん - さすがに課題が難しかったのか難易度は低かったようですが、気軽に解けて楽しめました。たまにはこういうのもいい でしょう。

★でも、たくぼんさんの4番は難しかったようですよ。

弘光 - 易しい作品ばかりで楽しめました。でも4番は手間取りました。

隅の老人B - 蒸し暑い夜、寝付かれぬままに、九州Gを考える。一晩で何題解けるかな? 一番長持ちしたのは1番で、 羊が数百匹も行ったり来たりです。 後はスラスラ、そしてスウスウ、安眠できましたよ。眠られない夜は、易しい協力詰が一番ですね。

★1番が最難問とは? 実力者の感覚は測りがたいですね。

小峰 - 個人的には長編パズル物を期待していたのですが、ちょっと残念でした。(無いものは自分で創るのが作家の鉄則で すが…)

★次回(第13回)の課題は「17手以内」ですが、短いのにもチャンレンジされてみては?



リンク
おもちゃ箱 - 詰将棋メモ 2007年05月01日