フェアリー別館 第11回
2007年02月01日: 課題発表:使用駒9枚(協力詰)
2007年03月30日: 投稿締切
2007年04月01日: 出題
2007年04月28日: 解答締切
2007年05月01日: 結果発表



課題発表

小峰耕希−次回は使用枚数9枚でしたっけ? かなり運に左右されそうな課題です ね。何か作っても8枚で収まったり10枚必要だったりしそうなので、 別館独自に±1〜2枚は可とか、規制緩和した方が良いかも知れませんね。でもそれだと九州Gに 因まなくなっちゃうか…。

というわけで、第11回作品展の課題は「使用駒(盤面+持駒、玉含む)9枚」で す。「規制緩和」するかどうかは、集まった作品数で決めたいと思います。とりあえ ずは「9枚」でお考えください。投稿締切は3月28日です。
酒井博久



出題

今回の課題は本館に同じく「使用駒9枚」だったのですが、集まったのはわずかに 4局!  これでも締切を2日延ばしたおかげで3局増えたのですが・・・。ある程度予想して いたとはいえ、 やはり課題が難しすぎたのでしょうか。頼みの太郎氏には「課題が酷すぎ」と見放さ れる始末。
課題発表の際には触れていた「規制緩和」策(±1枚は可とする等)を何故かすっかり忘れていたのも失敗 でした。 締切ギリギリになって思い出したのですが、後の祭り。
愚痴を言うのもこれくらいにしておきましょう。集まった4局で解答募集するしか ないのですから。 投稿していただいた4氏には、感謝あるのみです。特に、新人の赤土氏からの投稿は 収穫でした。
今回の解答締切は、4月28日です。作品数が少ないので余裕でしょう。どしどしご 解答をお寄せください。4の受方持駒制限にはご注意を。 なお、次の12回は別館独自の課題となりますので、解答と合わせて、希望の課題があ れば、それもお書き添えください。次回は課題設定を誤らないようにしないと・・・ (←まだ愚痴を言ってい る)。
酒井博久



結果発表

出題数減を嘆いていたら、解答数も減ってしまいました。5通のみ。近年、体力 ・集中力の衰えと共に、詰将棋熱の低下を感じていたのですが、これは個人的現象に 止まらず、ある程度一般的な現象なのでしょうか。
ともあれ、作品・解答をお寄せいただいた方々には、感謝あるのみです。

【全題正解者】(五十音順、敬称略)
赤土陽一・小峰耕希・隅の老人B・たくぼん・橋本孝治

なお、たくぼん氏の解答はメール事故(?)で締切内に着かず、締切後に再送して いただきました。氏のコメントは結果稿に急遽追加したため、若干の齟齬を来してい る部分があるかも知れません。その点はご了承ください。
酒井博久



11-01 たくぼん
  11-01 たくぼん 協力詰 7手
 
                 
                 
                 
               
               
             
               
             
             
 

47銀 同香成 57歩 同杏 67角 46玉 45金 まで 7手詰

たくぼん−今どきこんな狙いがよく分からない作品を創る人は私くらいしかいないで すね。

隅の老人B−先ず香を取って合駒調べ、ダメ。角を働かせるには? これで、解決です。

赤土−二枚の歩で二枚の角が封印されているので、初手5七歩から考え始めて、困っ てしまいました。
でも、4五の香車が、なぜ歩ではまずいのかと考えて、初手4七銀にたどり着きま した。その後は、するするっと解答が出てきました。
3八歩が、余詰防止だけではなく退路を塞ぐのにも役立っているのは意外でした。

★さすがに香取りはなさそうですから、角を働かそうとする57歩が第一感でしょう。 しかし、57歩、55玉、56歩、同玉、67角、46玉で、64桂が利いているため56金が打て ません。
47銀で成香を作らせ、それに57歩を取らせて、退路封鎖の壁にするのがポイントです。

小峰−初手に気付かないと悩みそうですが、67金配置が露骨なので効果が薄いかも。

★67金は質駒でしたね。

橋本−角のリーチを最大限に活かした詰上り。これはもはや「たくぼん流」と言って 良いかもしれません。
上部の利きを減らすような銀捨てと組み合わせることで、不利感を強化しているの も巧みです。

★詰上りから駒数を調整しつつ逆算式で作られたような感じがします。

たくぼん−創ってみて使用駒9枚という制約はかなりきついですね。駒数を変えずに 余詰修正は至難の業でした。



11-02 赤土陽一
  11-02 赤土陽一 協力詰 9手
 
                 
                 
                 
                 
                 
             
               
               
             
 

19銀 29玉 18銀 同桂成 38銀 28玉 37銀 17玉 26銀打 まで 9手詰

赤土−使用駒数九枚という課題でしたので、二種類の駒を四枚ずつに、玉を一枚加え て作図しようと思い、銀桂図式で作りました。ポイントは勿論 銀桂図式ですが、手 順中に「銀を打ってまっすぐ進む」の繰り返しを二回行なっているところもポイント ですね。
39成銀が余詰(三手目から18銀打 38玉 27銀 同玉 38銀{または36銀}17玉  29桂まで)の防止にしか役に立っていないのが少し残念ですが・・・。

★新人の赤土氏。珍しい姓は「あかど」と読むのでしょうか?

小峰−01に続いて、7手詰の局面から銀捨てに気付くかが解図の鍵。

たくぼん−あっさりとした手順ではあるが、協力詰では珍しい3手目の捨駒が光りま す。

★初手は19銀の一手ですが、打った銀をすぐ捨てるのは盲点かも知れません。

橋本−桂の守りが案外強いことを感じさせられる作。
39全の配置は使用駒趣向でしょうか? 普通に「と金」で良いと思いますが。

赤土−3九は、わざわざ成銀にしな くても、と金で十分でしたね。
玉の周りを固めていた三枚の桂馬が最後には、逃げ道 を塞いでしまうおかし味が 伝わればいいのですが・・・。

隅の老人B−趣向は理解できても、感心はせず。何故? 新しい作家誕生、期待する こと大。

★まだスタートラインに立ったばかり。今後の成長を見守りましょう。

赤土−まだまだ自分の作品は、未熟だなぁと感じられるのと同時に、 自分の作品が 載っているのを見て、小さな声で、「やった!」と叫んでいました。
これから も投稿や解答を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。



11-03 神無七郎
  11-03 神無七郎 協力詰 15手
 
               
               
               
               
               
               
               
               
               
 

92金 同玉 93歩 82玉 92歩成 83玉 93と 84玉 94と 85玉
95と 同飛 77桂 96玉 87銀 まで15手詰

七郎−使用駒9枚ということで、長編はスッパリ諦めて曲詰に。元は1筋で作ってい ましたが、9にちなんで反転させました。

★双玉+七色の駒柱。最高の演出です。と金で玉を追い、取った銀桂を使って詰め上 げます。

小峰−今回出題作中、条件・図柄は最高なのですが、手順は一番平凡。って釈迦に説 法ですが…。

赤土−玉を除いて、一種類ずつ一列に並んでいる初形は、すっきりしていて、最初 に手をつけました。解答手順もすぐ思いついて、楽しい作品でした。
ただ、最後が、トの字の立体曲詰であることに気づくのに少し時間が掛かってしま いました。

★そうなんですね。これは意識していませんでした。作者は意識されていたのでしょ うか?

隅の老人B−易しいけれども、「成る程ね」。いつも感心、七郎さん。

たくぼん−使用駒9枚という課題を一番忠実にまた的確に実行した作品ですね。七郎 さんの芸域の広さには恐れ入ります。

★何を作らせても、一味違う作者です。



11-04 荻絵香木
  11-04 荻絵香木 協力詰 43手
 
           
                 
               
             
                 
               
                 
                 
               
 
 

38桂 35玉 31龍 44玉 41龍 53玉 51龍 64玉 61龍 75玉
71龍 66玉 61龍 57玉 58歩 47玉 41龍 36玉 31龍 45玉
41龍 34玉 31龍 32金 46桂 45玉 41龍 56玉 57歩 47玉
54桂 42金打 48歩 46玉 47歩 45玉 46歩 44玉 45歩 43玉
42桂成 同金 44金 まで 43手詰

荻絵−要するに桂をはねて空き王手をしなければならないということです。

★例によって素っ気ないコメントですが、今回唯一の長編。解きごたえがあったよう です。

小峰−絶対評価でどの程度かは別として、相対では他の3局よりも桁違いで面白い。 5筋の双方の歩にいろいろな意味を持たせてあるのも良い感じです。
後は金合を実現するための条件がどうなのかという所ですが、課題がかなりきつい ので、僕は許容範囲だと思います。

★受方持駒制限は、荻絵氏がしばしば用いる条件です。本局の場合、角銀香を除外し ているのはやむを得ない所でしょう。

隅の老人B−龍は1段目から動けない。加えて、持駒は桂1枚。一瞥、これが詰むの ?です。
龍の動きに操られ、玉はあちこちさまよった。桂で合駒が取れる、この発見で跳び 上がる。少しオーバーですが、嬉しかったですよ。

★攻方龍は21飛によってピンされていますから、一段目をうろうろするしかない。そ れに伴い玉もうろうろしますが、なかなか詰め形が見えてきません。空き王手で駒を 取るのが鍵ですが、よくこのような発想が浮かんだものです。

たくぼん−いきなり開き王手の形を作りにいくと失敗する。すごく遠回りして歩を1 つ進める謎解きに楽しみ(苦しみ)ました。
収束はちょっと異質な感じがしました。

★収束については、橋本氏も同様の感じを持たれたようです。

橋本−23手目、手拍子に桂を跳ねて、収束で苦しみました。後の42桂成を取れるよう にする32金は、割と珍しい手で、協力詰版不利合駒と言えるのではないでしょうか。
中途半端な持駒制限が少し惜しいですが、この枚数でなかなか手ごたえのあるミニ 知恵の輪作品に仕上がっていると思います。

★「協力詰版不利合駒」ですか。なるほど、そうですね。

赤土−これは解くのにかなり時間がかかってしまいました。初手は、3八桂しかない のですが、その後、龍を左右に振ってはみるものの、埒が明きませんでした。玉方の 持駒制限があるから、合駒をさせて、取らなくてはならないと分かっていても、飛 車で龍が 釘付けにされていて、桂でどう取るか悩んでしまいました。
桂馬の後ろに玉を逃げさ せておいて空き王手をする手が見えてやっと、解答手順 にたどり着きました。打った 桂が、三段階で飛び跳ねて獲物の金と歩を二枚取って 来る手順は、まるで、キツネのようですね。

★初手58桂だと、後で玉が66に行けなくなります。「キツネ」というのは、面白い比 喩ですね。

荻絵−大学ですが、詰将棋断ちの甲斐あって(?)何とか合格していたので、これか らはもう少しいろいろと作れるかなと思っています。

★合格おめでとうございます。学業と共に、詰将棋の方も頑張ってください。期待し ています。



総評など
隅の老人B−今回の出題は4。3題までは、楽々クリヤー。この分なら、今回は楽勝 と思ったら、4題目が解けない。月半ば、改めて挑戦。20日過ぎに、漸くです。
いつも面白い作品を、作家の皆さん、有り難う。

小峰−飛角図式+持駒一式が丁度9枚なので、長谷さんにお願いしたら何かあるかな ? などと密かに考えていたのですが、こういう思い付きはさっさと口に出した方が 良かったのかも・・・。創作でも貢献出来ず残念でした。

★課題については途中で打つ手は色々あったのに、ぼんやりしすぎていました。

橋本−九州G別館のホームページのページへの要望があります。今のページの盤面レ イアウトは、画面で見ると綺麗なのですが、印刷すると盤の途中で改ページしてしま うことがあり、とても見づらいです。手数+盤面+持駒をひとつの画像にして、印刷 しても途中で切れないようにできないでしょうか?

★次回の出題から試しに変更してみて、皆さんの反応を伺いたいと思っています。



リンク
おもちゃ箱 - 詰将棋メモ 2007年02月01日