フェアリー別館 第7回
2006年02月01日: 課題発表: 不成三種以上(協力詰)
2006年03月28日: 投稿締切
2006年04月01日: 出題
2006年04月28日: 解答締切
2006年05月01日: 結果発表



課題発表

第7回は九州G本館(普通詰)に沿った課題になります。 最大六種の不成が可能ですが、とりあえず三種以上とします。 協力詰にとって魅力ある課題とは言えないかも知れませんが、 作家の皆さんのご投稿を期待します。
なお、従来は投稿・解答の締切を月最終日としてきましたが、 原稿作成上の余裕を見て、今回から28日締切を基本にさせていただきます。 当方の都合による変更ですが、ご注意・ご協力をお願いします。
酒井博久



出題

今回は、7名の方から合計9局の出題です。手数は3手から13手まで。 短手数が多いのは、「三種以上の不成」という課題のせいもあったのでしょう。
ともあれ、解く人にとっては取り組みやすいと思いますので、初解答の方が増えることを期待しています。 解答締切は4月28日。今回から従来より少し早くなっていますので、その点、ご注意ください。
酒井博久



結果発表

今回の課題は、本館(普通作)と連動して「不成三種以上」です。課題がヒントに なるうえ、短手数作がほとんどだったせいか、簡単だったようです。私事ですが、本 館のほう(パラ4月号)の拙作で誤図を出題してしまい、ガッカリ。図面確認という 基本の大切さを再認識しました。
さて、今回の解答者は、小峰耕希・隅の老人B・たくぼん・チャモ・橋本孝治・森 茂・吉川慎耶・若林(五十音順、敬称略)の8名。全員が全題正解でした。
酒井博久



07-01 吉川慎耶
  07-01 吉川慎耶 協力詰 3手
 
                 
             
               
             
           
               
               
               
                 
 

53桂生 45飛生 63銀生 まで 3手

吉川−誰でも思い付くことなので、もう1つくらい3手があるでしょう。

☆最短手数の三種不成。「もう1つ」は、作者自身が次局で示してくれました。

若林−3手では出来ないと思っていたら、逆王手利用で可能であることを示してもらった一例。

☆念のために言っておくと、2手目の不成移動合は38角の利きを通すためです。

橋本−3手全部が不成という若林さん提唱のテーマですね。
 双玉を使うのならもっと駒数は減らせるはずですが、「駒取りなし」か何か隠れた 条件があるのでしょうか?

−全手順不成は、お見事です。

隅の老人B−3手で3種不成は、お見事。銀生だけが、少し弱いね。

☆王手のための必然手ですからね。

たくぼん−玉を動かさない為の初手の桂生が条件だけに止まらない好手です。

チャモ−玉と双方の飛車が余詰み防ぎによくきいています。

小峰−そういえば今回は吉川さんが好きそうな課題でしたね。でも褒めるのは後程。

☆というわけで、次局へ。



07-02 吉川慎耶
  07-02 吉川慎耶 協力詰 3手
 
           
                 
           
               
               
                 
               
               
                 
 

52角生 73飛生 62銀生 まで 3手

吉川−単玉で出来たのは評価高いかも。(第1号なら)

☆「第1号」かどうかは確認していませんが、双玉よりハードルが高いのは確かでしょう。
では、小峰さんの褒め評を・・・。

小峰−便利な道具(攻方王)を使わずして、本課題最短手数、そして鑑賞に堪える配置・枚数で表現。好感が持てる。

☆小峰さんに限らず、好評が集まりました。

橋本−今度は角飛銀の不成ですが、単玉かつ使用駒10枚で実現したのが高度な技。
これが使用駒9枚以内で収まらないか私もずいぶん考えたのですが、できませんでした。

隅の老人B−華やかな攻防。協力詰なら、なんでも出来る?

たくぼん−単玉での実現は見事です。

チャモ−三手三種不成で双玉でないとはすばらしい。

若林−双玉で無くてもできると聞かされて、結局作品を見てようやく理解。両王手回避ですね。

−01と同工異局。

☆確かに、手順構成は似ていますね。意味付けは若干異なりますが。



07-03 もず
  07-03 もず 協力詰 5手
 
               
               
             
         
             
                 
                 
               
               
 
 

23歩生 68香生 57角 同桂生 22銀生 まで 5手

もず−5手詰で考えたのですが、5種は無理でしたので小駒4種不成としました。
不成の意味付けにおもしろみがないこともありますが、後手側持駒なしにせざるを 得なかったのが最も不本意な点です。
他の方と重ならないと良いのですけど。

☆同一テーマの衝突はありませんでした。

橋本−歩〜銀への順列ですね。最初は5種不成を予想したのですが、別の狙いでした。

☆作者も当初は五種を狙っていたみたいですね。

たくぼん−玉方持駒なしを気付けず余詰かとかなり悩みました。6八角配置の方が気 持ちよさそうなんですが4手目に角合いが出来るんですね。

☆すみません。出題の際に注意を喚起しておくべきでした。被害者が出なかったのは 幸いでしたが・・・。

小峰−前回に続いて持駒制限有とは…?、と思ったら、順列小駒不成でしたか。

チャモ−う〜ん、手順がパッとしないなあ、と思ったら、5手4種不成だった!

−順列小駒四種不成は上手い。

若林−5手で4種生。その手際が見事。

☆もずさんの作品はいつも洗練されていますね。スマートな感じがします。

隅の老人B−これも最後の銀生が気に入りませんね。

☆さすがに、この条件では・・・。



07-04 たくぼん
  07-04 たくぼん 協力詰 7手
 
               
                 
               
             
           
               
               
               
               
 

57金 同桂生 68桂 同香生 76飛生 67玉 58角 まで 7手

たくぼん−最後まで粘りましたがこの辺で妥協します。課題をクリアしただけの作品 になってしまった感があり、実力の無さを露呈した形になってしまいましたね。
もう少しコンパクトにならなかったものか?・・・あっ自分のか・・・

☆悪形(失礼!)難解作が表看板(?)の作者ですが・・・。

小峰−今回の全出題作中、唯一暗算で解けなかった作品。作者名に対する苦手意識と (注、人格とは別次元ですので誤解なさらぬよう)、詰上りの不安定 さが原因と思われます。

チャモ−手順前後絶対禁止、ですか。

−今回では一番詰まし難い感じ。不成という考えが無ければもっと苦しんだでしょう。

☆予想どおりの評が集まりましたね。この詰上りは、作者の得意パターンの一つでしょう。
一方、こんな評もありました。

橋本−課題を知らなければ紛れに悩まされそうな作ですが、不成の受けがある手から 読んだら一発でした。課題に近い紛れとか偽作意があると迷いそうですが。

若林−テーマの無理を感じさせないので結構好きです。

隅の老人B−最後の一手の為に、二度の伏線。良いですよ。

☆63香の利きを通し、68桂を取らせて、玉の逃げ道を封鎖しているわけですね。



07-05 若林
  07-05 若林 協力詰 7手
 
                 
               
                 
             
             
           
             
             
               
 

17歩 同飛生 38角 同香生 27銀 同角生 28桂 まで 7手

若林−結局誰でも考える6種不成に挫折して客寄せを。持駒を2枚にすらできなかっ たので非常に簡単です。
流石にこの作意でこの駒数は躊躇しますが、送ってしまいます。例によってあまり にもアレでしたらボツで。
妥協は否めない。本当は受け方飛車を2手以上かけて運びたかった。

☆作者としても不本意な作品だったようですが、選題してしまいました。

橋本−なんとも無粋な初手ですが、これで第一感を外されたのは確か。
(でも評価に結びつかないのがこの種の俗手の宿命…。)

チャモ−敵角をうごかすのに一苦労。初手角を動かしてしまうとはまる。

☆駒取りの初手は、確かに意表ではありますが・・・。

隅の老人B−趣向に慣れると、簡単。そして感銘も薄くなる。

たくぼん−さすがに氏にしてみれば初手の駒取はらしくないですね。ただ若林さん= 桂吊しの公式は健在。

小峰−「桂打迄の詰上りを可能にする不成」第1弾。そういえば作者は桂が好きなの か、吊るし桂の作品が多いですね。
−不成と受けさせる手順を探せば詰んでいました。06の自作と同様の詰上がりだか ら判り易かったせいでもあります。

☆というように、次の森氏作と同様の狙いでした。



07-06 森茂
  07-06 森茂 協力詰 9手
 
                 
                 
                 
                 
                 
           
             
           
                 
 

27金 同龍 19香 同銀生 18歩 同飛生 28銀 同角生 29桂 まで 9手

−陳腐な詰上がりですが、無仕掛けで持駒小駒一揃いが狙い。今回はこの一作のみ 投稿します。
先手は全手順持駒を打てばよいのだから考えやすい?

☆複数作の投稿が多い森氏ですが、今回は大量生産は無理だった? でも、 一作とはいえ、流石に手抜きはありません。

若林−07-05とコンセプトこそ近いが、初形趣向、持ち駒趣向と完成度は圧倒的に高 い。

小峰−前問の若林作に続いて「桂打迄の詰上りを可能にする不成」。でもそちらより は持駒と初形象形の方が価値有り。

たくぼん−若林作とかぶりましたが“さすが”という内容です完成品です。

隅の老人B−無仕掛、これが詰むから不思議。おまけに曲詰、なんでも出来る、感 心。

チャモ−初形曲詰&持ち駒大駒以外一枚づつ&無防備&単騎詰め、でありながらまぎ れもあってすばらしい作品だと思います。

☆という具合に、好評のオンパレードでした。

橋本−前局と同じテーマですが、創作のお手本といえるような完成度の高さですね。
形や持駒の形式美もさることながら、終始29桂の紛れを残し、最終手にやっとそれ が実現する構成は見事としか言えません。

☆なお、36歩がないと、初手29桂〜最終手36角(銀)までの余詰が成立します。



07-07 チャモ
  07-07 チャモ 協力詰 9手
 
           
           
             
           
               
                 
               
                 
                 
 

53桂生 同飛生 52銀 同玉 43銀生 41玉 32銀生 52玉 62金打 まで 9手

チャモ−不成三種は、協力詰なら簡単かなあ、と思ったら、難しいですね・・・。

若林−うーん。ちょっと課題を満たして終わってしまった感が。

隅の老人B−解後感は普通の詰棋、どうして?、飛生以外は弱いね。

☆駒取りが多いせいもあるのでしょう。確かに普通作的な匂いがします。

小峰−頭2手はこれしかないが、銀の使い方を思い付くのに少し時間を食った。

たくぼん−初手が苦しいと言えば苦しいが、2手目の不成が最後に良く効いているの が気持ちよい。

橋本−銀生の連続がリズミカル。これをもっと強調する構成が取れれば、もっと良く なると思います。

☆橋本さんの意見に賛成です。作者も改良案を考えてみられては?



07-08 チャモ
  07-08 チャモ 協力詰 11手
 
               
           
             
               
         
               
                 
                 
                 
 

23桂成 同玉 33桂成 同玉 43歩生 32玉 41銀生 同玉 42歩生 51玉
63桂生 まで 11手

チャモ−攻方4連続不成をつくりたかっただけです。序盤4手の意味がほとんどない のが苦しかったかな?

たくぼん−紛れはほとんど無いですが連続歩生は高級手筋。序はちょっとイマイチな ので7手の方がいいような気がします。

橋本−収束7手の感触は良好。問題は逆算ですね。作意と同様に逆算するなら、最初 に成り捨てる2枚を歩にして、歩生と対比させた方が良かったかもしれません。

小峰−冒頭アンチ課題連発に意表を突かれたが、よく見るとこれしかなかった。

☆私も序の逆算には否定的だったのですが、以下のように肯定評もありました。

若林−こちらは良いですね。あえて成2連発の導入から歩生2回を含む生4回。

☆あと、必然不成に対する辛口評もありました。

隅の老人B−2度の歩生は良いけれど、後の2つが気に入りません。

−成と不成が選択肢になるような作り方をされたら、もっと良い作品になるでしょ う。歩不成で二段進むところは面白いです。

☆創作の参考にされてください。



07-09 小林看空 命名「プレアデス」
  07-09 小林看空 協力詰 13手
 
                 
                 
               
         
           
         
         
           
                 
 

68桂 同銀生 67金 同歩生 57角成 同桂生 48桂 同香生 47金 同飛生
46金 同角生 45銀 まで 13手

看空−小一日いじくりまわして、ようやくつくりあげました。 究極の六種不成で す。前の15手と差し替えください。
今回は九州に関係ないかもしれませんが、『プレアデス』ということでお願いしま す。 『六連星』=『すばる』でもありますが。

☆作者の言葉にもあるように、最初15手だったものを、最短の13手にまで短縮されま した。この2手は大きいです。今回の目玉作だと思います。
命名は前回の『七隈』に引き続き、九州地名シリーズという話もあったのですが、 作者がピッタリの案を思いつかれました。

隅の老人B−ヤッタァ!、最短手順で6種不成。解けて嬉しくなりました。

小峰−今回は暗算で解いたので正答かどうか自信がない作品もありますが、本局は玉 方のみで6種不成になっているので、この順で間違いない筈。 間抜けな話しですが、初手の選択に悩んでしまいました(^^;)

橋本−最短の受方6種不成。究極の作品。夜空に輝く6つの星が鮮やかに描かれてい ます。

たくぼん−玉方6種不成を無駄無く13手で実現とはまさに完璧な構成。恐れ入りまし た。

チャモ−受け方全着手不成の六種不成。手順前後の消し方がおもしろい。

☆桂の入手がポイントでしょうか。詰上りの設定も困難だったと思います。

若林−最短手数受方6種生。もう少し6種はあるかと思いましたが、一作だけでした ね。
今回の作品を見ると攻方6種生を見てみたいですねえ。

☆看空さん、いかがでしょう?

−受け方の全手順異種不成のみで最多種(6種)不成達成は素晴らしい。有力な妖 精賞候補ですね。

☆早くもこんな声が・・・。確かに、それに相応しい出来栄えですね。



総評など
−今回は、課題がヒントになり解きやすかったです。

若林−今回は短編中心で大ヒント付きなのもあって、解図というより鑑賞という感じ でした。

橋本−最初「今回は楽勝だな」と思って取り組んだのですが、3番のもず氏作を解い たところで創作の方にはまってしまい、出遅れてしまいました。実質の解図時間は10 分未満だと思います。

☆人の作品がヒントになって創作にはまる、ということはしばしばありますよね。

吉川(総評のみ)−課題を頼りにして暗算で解けました。脳が弱っていた所なので丁 度良い休憩といったところでしょうか。

隅の老人B−このごろ、HPで流行るもの、フエアリーの世界は花盛り。
今回の出題は難解な作品が無く、短編ばかりで、スイスイ解けて、協力詰の面白さ を充分に堪能させて頂きました。それにしても、各作者はいろいろなことを考える と、感心です。楽しい時間が持てました、感謝。

小峰−各作品に対する評の中でも書いていますが、今回はCたくぼんさん作以外は全 て暗算で解きました。なのでこれまでと比べて誤解の可能性が高く、 また脳内盤の性能が悪いために詰上り曲詰があっても気付きません(今回そのような 狙いが秘められた作品があるのかどうかもわかりませんが)。半年前の合駒3種もそ うでしたが、このような解答者にとっては大ヒントになる課題の作図は大変そうです ね。そういう僕は努力不足で今回も作品参加“不成”。
最後に思う事は、好作揃いであるとは思うのですが、解いてすぐに解答を書いてい て、余韻に浸たる暇が無かったせいか、お気に入り度は高くないかな。

☆解答のほうは大丈夫でしたよ。「参加不成」とはうまいですね(笑)。お気に入り 度が高くなくて、残念でした。

たくぼん−暗算で全部解けるとは初めてです。1ヶ月が長く感じそうです。
日記にも書きましたが、解答者にとっては課題で不成と分かっているので面白みに はかけるところはあったと思います。でも課題を考えるとなかなか両方の側に立った 課題って難しいですね。

☆課題設定については、みなさんの案を優先しますので、今後もよろしくご協力くださ い。

チャモ−私のような人にはこのくらい簡単なほうがとりかかりやすくていいです。
3種不成じゃ魅力的な作品なんてできないだろう、とおもっていましたが、良い作 品を作れる人がいるんですね。

☆作家諸氏の努力には感心します。



リンク
おもちゃ箱 - 詰将棋メモ 2006年02月04日