フェアリー別館 第5回
2005年07月01日: 課題発表: 合駒三種以上(協力詰)
2005年09月30日: 投稿締切
2005年10月01日: 出題
2005年10月31日: 解答締切
2005年11月03日: 結果発表



出題

今回の課題は「合駒三種以上」です。 必ず三種類以上の合駒が出ますので、 その辺を解図の目安にしていただけたらと思います。
ところで、今後の出題サイクルおよび掲載作品の扱いについて新たな提案がありますので、 下記をご確認ください。

【新サイクルについて】
九州G作品展(年2回)に連動して始まった本企画ですが、 もう少し回転を早くしてほしいという要望があったのに鑑み、 今後は以下のように、別館独自の出題を加えて、年4回のサイクルにすることにしました。
今回は「秋」の出題に該当しますが、 次回は「冬」の出題で、別館独自の課題設定になります。 したがって、今回に限り課題設定依頼日が異なりますが、 今回の解答を送られる際に、次回の課題として希望されるものを書いていただければ幸甚です。

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□□02月01日:課題発表:本館連動
□□03月31日:投稿締切
□□04月01日:出題
□□04月30日:解答締切
□□05月01日:結果発表

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□□05月01日:課題発表:別館独自
□□06月30日:投稿締切
□□07月01日:出題(冬の課題設定依頼込み)
□□07月31日:解答締切
□□08月01日:結果発表

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□□08月01日:課題発表:本館連動
□□09月30日:投稿締切
□□10月01日:出題
□□10月31日:解答締切
□□11月01日:結果発表

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□□11月01日:課題発表:別館独自
□□12月31日:投稿締切
□□01月01日:出題(夏の課題設定依頼込み)
□□01月31日:解答締切
□□02月01日:結果発表

【掲載作品の扱いについて】
本HPで出題された作品は、「正式発表」扱いとします。 したがって、「妖精賞」の対象となることを希望します。
今回出題分から適用したいと思いますので、投稿者の皆様はその旨ご了承ください。
酒井博久



結果発表

今回の課題は「合駒三種以上」でしたが、出題の際「移動合も含む」ということを 注記し忘れたので、解答に影響がなかったか心配です。ほぼ大丈夫だとは思いますが・・・。
酒井博久

【全題正解者】(敬称略)
北村太路、小峰耕希、隅の老人B、たくぼん、橋本孝治、もず、吉川浩二、若林

チャモ−創作は出来なかったので、解答を送ります。 第七問、第十問、第十一問、第十二問は解けませんでした。

☆全題解けなかった方も、チャモさんのように解答をお寄せください。


05-1 北村太路
  05-1 北村太路 協力詰 5手
 
                 
                 
                 
                 
             
           
             
               
               
 

69角 47馬 38飛 37桂成 25龍 まで

☆今回は大量出題に加え、私の個人的事情(多忙+体調不良)もあり、短評のオンパ レードで行きたいと思います。その点、ご容赦ください(いつもと変わらないという声も)。

北村−当然条件的には3手でできるわけですが、出題図で王手がかかっている、とい うのは個人的にはルールとしてはOKですが、感情的には嫌いなので、5手にしました。
9筋の龍角は他にも配置はありますが、あまり近づけたりすると余詰が出るので、 結局この位置にしました。

若林−受方合駒を含む客寄せ問題。良い感じの導入です。

隅の老人B−2種の移動合。あっそうか、38飛も移動合、これで3種。

吉川−5手で3種合とは驚き。

チャモ−3種合駒というヒントがあれば、3手目まで絶対手の連続なので、すぐ解けました。

小峰−これはさすがに一瞬…の筈でしたが、最初1七の桂の存在をうっかり見落したために解けず、 改めて図面を見直したら…という具合でした。

もず−5手ということで逆王手。そう思うと簡単でした。 96角を49に置くと少し紛れが増えるかもしれません。

☆確かにそのほうがよかったかも知れませんね。

たくぼん−5手で上手くまとめています。桂が成るのが変わっている。

北村−さすがに没になると思ってましたが。恥ずかしい。 やはり、適当になんでもかんでも送ってはいけませんね。 やはり優秀作は、やっくんさん作の普通詰3手ですね。

☆やっくん作は「おもちゃ箱」の展示室にて解答募集中(締切11月末日)です。

橋本−最初の逆王手で「もしかして、双方連続王手のダブル趣向!?」と思ったのですが、違いましたね。 攻方も入れての3種合いが真の狙いですか。
究極は5手で5種合(成駒と生駒を別にカウントして)なのでしょうが、 果たして実現可能でしょうか?

☆どなたかチャレンジしてみてください。



05-2 たらう
  05-2 たらう 協力詰 9手
 
                 
                 
               
             
               
               
                 
                 
           
 

46角 37飛 同角 28香 15飛 16金 同飛 17桂 18金 まで

たらう−短手数、簡素形でいかに多くの合駒を出すかという命題に対しては、 9手6枚4回の解がある。ただ、短編合駒は自身の創作の原点でもあり、この課題では創作しないわけにもいくまい。 ということで多量に作った(というより過去の作を焼き直した)もののうちの2題(05-5と合わせて)。

たくぼん−9手で4種合とはすごい。AWAKEN44と双璧をなす作品。

☆作者の言にある「9手6枚4回(4種)」の解を実現したのがAWAKEN 44(下図)です。

1994年11月 詰将棋パラダイス
神無太郎


隅の老人B−戦中派曰く、「不足なものは、敵陣で調達。」

チャモ−合駒が非限定か、と思いきや、実は一通りしかなかった。

若林−23歩の意味に気付くと速攻解決。

もず−9手で4種合。お手のものですね。特に逆王手回避の香合がうまくできています。

小峰−風呂に入りながら考えている内に解けました。超短編で中合が3回も出て来るのが気持ち良い。

吉川−素直な手順で好感がもてます。

橋本−「たくぼんの解図日記」で予習していたせいか、すんなり解けました。 予想通り18金で詰め上がり、変に捻ってないのが好感触。

北村−いろいろなパターンで作れるんですね。他のHPでも見させていただいてるので、 だんだん良いと思う感覚が麻痺してきました。

☆「多量に作ったうちの」他の作品をご覧になりたい方は、 作者まで個人的にお願いしてみては?



05-3 たくぼん
  05-3 たくぼん 協力詰 11手
 
               
                 
                 
                 
             
             
               
               
                 
 

66飛 56馬 49香 48飛 同香 47と 36飛 45玉 35飛 46玉 57角 まで

たくぼん−初形王手がかかった状態です。余詰が強すぎて仕方ないです。(初手も合駒というのは言い訳です) 手順は分かりやすいと思いますが、この駒数と手数でいけたというのが売りでしょうか。

☆作者の「分かりやすい」という言葉とは裏腹に、難解という評が多かったです。

橋本−これは少してこずりました。単に馬を取ってしまう収束が見えにくい。 たくぼんさんは紛れ重視の作が多いようですね。

もず−7手目は惰性で16飛しか見えず、短編の中では一番時間をかけました。 受方の王手2回が緊張感あります。

小峰−苦戦しました。前半はすぐに見えていたのですが、主に読んでいた飛の打ち場所が見当違いだったのと、 詰め上がりが予想外だったのが原因です。もっと言えばそういう錯覚を起したのは4五歩の配置で、 35や55に玉を持って行き、下から角を打って最後は44角成で詰むような展開をひたすら考えていました。

チャモ−10手目まではたどり着きますが、11手目が意外な手でした。 どれでも取れない・・・。合計30時間位考えました。

吉川−詰め上がったときの喜びは長編並みです。

隅の老人B−初手も合駒? それに違いはないけれど。詰上がり図を、妙に感心。

北村−ずっと3五馬の影におびえてすごしていましたが、その3五馬で逆にとどめを刺してすっきり解決! その角をピン2つで取れなくしてるのも面白いです。

若林−一瞬2手目55玉を読んでしまう。贅沢なダブルピンの収束がいかにもたくぼんさんらしい。好みです。

☆アクロバティックな詰上りが好評でした。



05-4 もず
  05-4 もず 協力詰 13手
 
                 
                 
                 
                 
                 
           
           
                 
               
 

39角 28香 同角 同歩成 19香 18角 同香 同と 39角
28金 同角 同香生 27金 まで


もず−いろいろ考えすぎて作れないよりも簡単に作ってみようというコンセプトで、 軽く小さくまとめてみました。 (手抜きという話もありますが)この課題で短編というと神無太郎さんのAWAKEN 44 があり、これを超えるのは難しいだろうと思われます。 とはいえ、他の方からはかなりの力作が出てきそうな気がするので簡単に解ける のもあった方がいいかなということにしていただければと思います。

☆作者としては肩の力を抜いた作品だったようですが、 清潔感あふれる形と手順に好評が集まりました。

たくぼん−簡単ではあるが妙に好感が持てる作品。

吉川−コンパクトに収まっている初形が心を惹きつけました。

北村−まとまった初形で3種合を実現した好作と思います。リズム感ある手順も素敵です。

隅の老人B−フェアリー版、藁しべ長者。収束の香生で引き締まる。

橋本−28地点で成と不成が対比される美しい作。無理作りでないところがポイント高いです。

小峰−他の作品と比べてしまうと少し物足りない気もしてしまいますが、 使用盤面4×4に収まっているのはさすが。 内容で言えば、▲2八同角への応手が成と不成にわかれるのが面白い。

☆それでも、ちょっとだけ引っかかった方もいました。

チャモ−角と香のキャッチボール? 2七に打って詰ます筋が見えてなかったので、苦労しました。

若林−歩を裏返すのにしばし考えてしまう。最後の5手もちょっと考えてしまった。



05-5 たらう
  05-5 たらう 協力詰 13手
 
                 
                 
                 
                 
               
             
             
           
           
 

37飛 38角 同飛 同香生 66角 57飛 同角 48香 79飛 69金
同飛 59銀 49金 まで


☆作者のコメントは、上記05-2の分をご参照ください。

チャモ−05-2の類作でしょうか。するっと解けました。

橋本−AWAKEN44の異母兄弟? 銀合を制限する初形がちょっと苦しいですね。

☆ある程度パターン化してしまうのは、短編ゆえ仕方ないのでしょう。

隅の老人B−この玉の位置では、7種合はムリ? 5種でも立派、立派。

たくぼん−5種合ですか〜序の4手が入るのがすごいですね。

吉川−駒を多く奪おうと初手69飛から入って苦戦。 2番と同じ様な収束になるとは思いませんでした。

もず−69飛から考えてしまいました。それにしても、13手で5種合とは。 銀を温存する香合がヤマ場ですね。

北村−解答送る寸前まで間違ってました。4八銀合→5九銀不成と思ってました。 (素抜かれてた) たった13手で5種も出るとは贅沢です。私は最初横の筋から王手したので時間がかかりました。

若林−49金迄の詰め上がりは想像できたが、そのために飛を渡して返してもらう密集系になる手順はなかなか。 48合の限定方法が面白い。

小峰−最初に初手▲6九飛の方が合駒を稼ぎ易そうに見えてしまい、時間が掛かりました。 飛を7九から使わないと詰まない仕掛けが巧妙。

☆初手どちらから攻めるかなど、紛れも結構あったようです。



05-6 北村太路
  05-6 北村太路 協力詰 17手
 
                 
                 
                 
                 
             
                 
             
       
           
 

69龍 59金 同龍 同と 48金 同玉 47金 同玉 49香打 48角
同香 同玉 93角 66飛 同角成 47玉 48飛 まで


北村−テーマへの盲従、と怒られそうですね。

☆難易の評が相半ばしました。ちょっと中途半端な感は否めませんでしたか。

たくぼん−これは初心者でも楽しめそうです。解いてみたくなる作品(次のはねえ〜)。

隅の老人B−箱入り娘を口説いて連れ出す、さてそれからは?

橋本−何とか課題をこなしたところで終わってしまった?

若林−3種合というヒントによって流れるように解決。 解く分には気持ちいいのだけれど、やや一本道。

吉川−いかに合駒が出てくる環境にするか、そう考えたらすぐ分かりました。

チャモ−合駒三種というヒントがなければ、左辺を追い回してました。

もず−中途半端なところに打つ飛合が盲点になってなかなか詰み形が見えませんでした。 金合がうまく入りましたね。

小峰−出だしの9手は真剣に考え始めてからはすぐ見えましたが、 ▲9三角と△6六飛の妙手順に気付かず、解図に手を使ってしまいました。

北村−なんとか打合で駒数も手順も短くて・・・というのを作ろうと頑張ったんですが、 自分ではこれくらいで限界でした。双玉を使うというのも思いつかなかったし。
自分では頑張って作ったんですが、周りと比べると、やっぱり没ですな。 やっぱりスペースがあると言っても選題は少しは絞った方がいい気がしますね。

☆今まで投稿作を没にしたことはありませんでしたが、 今後は考えるべきでしょうか? おそらく没にはしきれないと思いますが・・・。



05-7 たくぼん
  05-7 たくぼん 協力詰 19手
 
                 
                 
                 
       
     
         
             
         
             
 

89歩 87玉 88歩 86玉 87歩 77玉 99角 88香 同角 76玉
79香 78歩 同香 77桂 同香 67玉 68歩 66玉 78桂 まで


たくぼん−森さんの長編趣向作の収束みたいな作品ですね。 香取らせが入ったというだけで見所はないかもしれません。 66角の紛れを入れるのが創る側からのポイントでした。

☆同じ作者の05-3以上に、難解という声が多かったです。

吉川−狭そうに見えて実は広い。手数短縮が難しかった。

小峰−3番のたくぼんさんの作品にも苦戦しましたが、こちらは大苦戦。 最後の最後にやっと解けました。 詰み形がまるで見えず、どう王手しても似たような形で手掛かりも無く、 ▲9九角を読んだのは最後の最後でした。 最初の合駒が8手目でようやく出て来るのも意表を突かれました。

もず−全ての中でこれが最後まで残りました。ずっと、初手で角打しか考えませんでしたから。 歩打から入ることに気付いたあとも、詰み形がいろいろあって手順を絞るのに苦労しました。

橋本−いきなりの歩の3連追いに意表を衝かれました。 早く角を打って合駒を稼ぎたいという心理の裏をかく妙作。

北村−最初は正算というか普通に手をいろいろ考えて全然見えず大変でした。 使える駒から勝手な詰み上がりをいろいろ考えたら、7手目からの手順を思いついて、 初手から繋ぐことができてなんとか解けました。
序でさらに複雑なことをされていたらきっと解けなかった気がします。

若林−狩シリーズを思わせる密室もの。3種合なら必然とはいえ、 地味な序がいいアクセントになっていて、好感の持てる作品。

☆作者によると、86香・96と・98とを取り、76玉形から77歩、同玉以下の15手詰が原案だったとのことですが、 角打の紛れや受方に合駒の香を入手させる伏線的な意味合いを考えれば、余詰防止の駒が増えても、 序の4手を加えたのは成功だったと思います。
なお、「狩シリーズ」とは、神無三郎氏の連作密室物。

☆でも、この方だけは余裕だったようで・・・。


隅の老人B−3種の合駒、一瞥、歩桂香と鶯の声。



05-8 たらう
  05-8 たらう 協力詰 31手
 
                 
                 
                 
                 
               
             
           
     
               
 

25桂 17香 同香 同玉 19香 18飛 同香 同玉 16飛 17金
同飛 29玉 19金 39玉 29金 49玉 39金 59玉 49金 同玉
19飛 29金 同飛 39金 同飛 同玉 49金 29玉 39金 19玉
29金 まで


たらう−序の4手は三郎氏から頂いた。 当初は、香合→飛合→角合→金合の17手だったが、 密室化することで趣向性が増したと思う。

☆本作から詰手数が一挙に増えますが、 後半は楽しい趣向になっていて、難しくはなかったと思います。

チャモ−最初から最後まで絶対手。簡単でした。

隅の老人B−長手順でも楽。エレベーターで地下鉄ですね。

小峰−これは暗算で解けました。玉が9段目に来ると飛と金位しか使い物にならないので、 必然の手順を読むうちに詰んだ訳ですが、解後感は悪くないです。

もず−ここから手数が急に長くなって身構えたのですが、 手なりできれいに詰みました。この形はなるほどです。 香合を出せたのが特にうまいですね。

北村−これだけ狭そうでありながら手数が伸びるとは! うまい作りです。

吉川−2手目の合駒が弱いものを先に…となかなか面白い。収束が見えずに苦労しました。

たくぼん−趣向的な手順から金2枚の詰上がりと申し分なし。 収束は5八に逃がすのかと思い苦戦しました。

橋本−58から穴を開けるのではなく、右辺に戻す構成に感心しました。 課題創作らしからぬ余裕を感じさせる作品。

若林−見るからに手が狭く、かなり初期に手を付けた。作図技術に感心するタイプの作品。
相馬氏のCollection No.2の横版協力詰とでも言うか。

☆相馬氏作については 詰将棋マニアックス - 相馬康幸 Collection をご覧ください。



05-9 たらう
  05-9 たらう 協力詰 31手
 
                 
                 
             
             
         
         
       
               
                 
 

28桂 同銀成 18角 27飛 同角 同香生 16飛 26角 同飛 同香
14角 25飛 同角 同と 34飛 35角 同飛 同と右 54角 45飛
同角 同と引 56飛 46角 同飛 同と引 69角 58桂成 同角 47と引
48桂 まで


たらう−ありがちな軽趣向。移動合は好みではないのだが、 八段目での桂合で壁駒としても利用しているのでまあいいかと。

☆角打〜飛合の繰り返しで、玉の周囲の駒を順次動かしていく趣向。 明快にまとまり、解答者には楽しんでもらえたようです。

たくぼん−実は私もこのパターンを考えていましたがまとまりませんでした。 私の構想をはるかに上回る内容にびっくり。

チャモ−角と飛車のキャッチボール第二弾? 第4問と類作かな?

もず−私はこれがやりたかったのですが、余詰を防ぎきれる気がしなくてああいうことになりました。 こういう風に展開できるのですね。勉強になります。
最後2段目に桂合できないなあと思ったらさりげなく66桂の配置がありました。 飛の打ち場所限定以外の働きが付くのがいい感じがします。

吉川−簡単だけどよく出来ている。66桂は会心の配置でしょうね。

隅の老人B−桂打で始まり、桂打で終わる。手順は回文のようです。

北村−おおー、面白い!! ぐるぐるぐるぐる。逆流したり、 流れが止まったりしそうなのをうまく制御してます。

小峰−これも暗算で解けました。玉の周りで駒がどんどん入れ替わる間に詰んでしまうのが面白い。 大駒の打ち場所を限定にするための配置も巧いです。

☆しかし、作者自身も「ありがち」と言っているように、 次のような問題点が・・・。

橋本−うーん、この筋は神無三郎氏の「輪姫」があるからなぁ…厳しく言えば作品価値ゼロ?

若林−どこかで見たような手順だな、と思ったら、輪姫(氾濫9回)のシンプル版。 63香や66桂が打ち位置限定だけでなく、余詰解消にも役立っているのに作図技術の高さを感じる。

☆「輪姫」はこの趣向の決定版と言えるものでしょう。 本作はオリジナリティには欠けますが、 簡潔で巧妙な作りになっている点は買えます。
「輪姫」については Onsite Fairy Mate - 第9回神無一族の氾濫結果稿 をご覧ください。




05-10 荻絵香木
  05-10 荻絵香木 協力詰 31手
 
               
                 
                 
 
     
       
     
           
         
 

24飛 25歩 29香 28香 同香 27桂 同香 36玉 28桂 46玉
48香 47銀 同香 55玉 46銀65 玉 87角 76金 同角 同玉
87金 同玉 89飛 88角 同飛 同銀上生 65角 76飛 同角 97玉
98飛 まで


荻絵−順列七種合です。最初から最後までありきたりで、 攻方玉も居るし配置も広がりすぎでつまらないと思います。没にして下さってかまいません。
それでも投稿したのは、ひょっとしたら・・と思ったからです。 正直こうした条件作の採用の基準がわからないので・・・。

☆いやいや、とんでもない。没どころか、解答者は大歓迎でしたよ。 合駒制限を利用したアイデアも、単純ながら見事です。

隅の老人B−易しいと思ったら、順列七種合。やりましたね。

たくぼん−順列7種合ですね。全て打合いで見事な作品です。

北村−わー、いきなり順列7種打合が来た! 機構はわかりやすい。なるほどこう作れるのか!と思いました。 素晴らしい。

吉川−下の飛角が活躍する展開になるとは思いませんでした。

若林−これは7種合だろうな、と思ったら順列のおまけ付き。銀合以降の取らせて直ぐ合駒させる、 という単純な手順もここまで徹底すればそれはそれで楽しい。

もず−銀合が出てきたところでさすがに気付いて解きやすくなりましたが、 順列7種合とはすごいですね! 香桂合あたりから手順をつないで作ったのでしょうか。

小峰−途中何回か迷走しましたが、殆ど手を使わずに処理出来ました。 狙いは7種順列合ですね(多分)。 合駒の多さを考えると31手はかなり簡潔にまとまっている。
今回の作品展の中では本局が最も解後感が良かったように思います。

橋本−絶連とはいえ、順列7種合を達成した果敢な挑戦に拍手。 これからもどんどん野心作に挑戦して欲しいです。

☆作者は05-13でもシンプルかつ斬新なアイデアを披露しています。今後の活躍が楽しみです。



05-11 神無三郎 命名「七隈」
  05-11 神無三郎 協力詰 39手
 
               
               
         
         
       
     
         
       
         
 

37龍 36角 同龍 同玉 14角 25飛 同角 37玉 35飛 36銀
同飛 48玉 37銀 58玉 68と 同玉 69歩 77玉 79香 78香
同香 86玉 89香 88歩 同香 87桂 同香 96玉 88桂 95玉
96歩 84玉 93金 同銀 72角 83金 同角生 84玉 74金 まで


三郎−アイデアはあるものですね。これがひとつの限界かな。
命名は何か九州にちなんだ地名などないですかね。 『高野山』なら『七里結界』なのですが。。

☆七種合系の作品を数多く手掛け、この分野での第一人者とも言える三郎@神無一族氏が、 リクエストに応えてくれました。
今回の作品は、単玉での表現がミソ。


橋本−7種合マニアの神無三郎氏にしては普通っぽい7種合。単玉7種合が狙い?

隅の老人B−もう七種合でも驚かない、2番手は損ですね。

若林−続けて7種合。これは手順で魅せる。ピンメイトまでの収束に感嘆。

吉川−15手目くらいでこのまま進めていいのか不安になる。

たくぼん−難しい銀合を上手く入れてますね。
詰上がり図が最初わからなかったです。 合駒とると使命が終わった気がして香のこと忘れてました。

もず−7種合がさらっとできるものですね。前半と後半のどちらを先に作ったのかが気になります。 双玉でないというのも、さりげないポイントなのでしょうか。

小峰−これは意外と簡単に解けました…と言う割に手を使っています。 要は配置と手数に最初から負けてしまい、駒を動かしながら解いてみたら意外に簡単だったという次第。反省。
最後の5手が良い感触でした。ところで命名の意味がよくわからなかったのですが…。 合駒が7種類全て出てくるのと何か関係があるのかな?

北村−命名があるので7種合はわかりつつも。七隈というのは福岡の方にある地名のようですね。
合駒の種類を縛るためになるべく盤面に置きたいところですが、 あえて逆で、受方は種類を持ってるけど手順をつなげるために種類が限定される作りが旨い。

☆命名は七にちなんだ九州の地名から、ということで、北村氏のおっしゃるとおりです。 「ななくま」と読みます。地下鉄七隈線も本年度から開通しました。



05-12 森茂
  05-12 森茂 協力詰 51手
 
                 
                 
         
     
     
   
         
       
             
 

25と 同龍 34と 46玉 24角 35龍 同角 55玉 46角 同玉
48飛 47角 同飛 55玉 19角 28歩 同角 37桂 同角 46香
67桂 同歩生 46角 66玉 55角 65玉 66歩 76玉 77香 同玉
65歩 66銀 同角 76玉 77銀 85玉 95飛 同金 76銀 96玉
97金 同玉 99香 98飛 同香 同玉 96飛 97金 同飛 89玉
99金 まで


−七種合+移動合一種。移動合は打合七種の外にとの考えで初めに置きました。

☆大御所・森氏の登場。数々の条件作を物してきた技術と経験が、 本作にも生かされているようです。 複雑ですが、そのぶん解き応えのある作品に仕上がっています。

橋本−これも7種合ですが、少し考えないといけないポイントがいくつもちりばめられていて、 森氏らしいと思いました。

隅の老人B−いろいろあって、七種合。最後の金合でホットする。

たくぼん−7種合は創るのは大変ですが解くのは意外と簡単なのが普通なんですがこれは骨が折れました。
1九角に対する3つの合駒が上手く限定されているのに感心しました。

もず−歩桂香の三連合の順序の意味付けが面白いですね。前半と後半のつなぎが複雑で考えさせられました。

吉川−67桂を入れることで手順を限定しているのはすごい。

小峰−これも手を使って解いています。いろいろ好手が多い作品ですが、 僕が最も素晴らしいと感じたのは▲6七桂△同歩不成の応酬。 これに気付いてからは流れるように解けました。本局も7種類の合駒が出て来ますね。

北村−機構が複雑で難しかったです!! 7種合とわかっていながら何度も行き詰まりました。 本当に玉側の協力の仕方が巧妙で参りました。最初手数を数え間違えてたのもあって、 飛合の前に金合して詰まずに焦りました。最初の龍の移動合を飛合と勘定していたので。 ちゃんと打合7種合でした。失礼しました。
龍も入れて8種合?でもそれなら馬も入りそうなので多分龍はオマケですね。

若林−盤面が必要に。3連合の登場でつい7種合にすがりたくなり、角を捨てたがる病気にかかって悩まされたが、 正解は6種8回。後半から収束が非常に難しかった。今回の最難問。

☆ちゃんと七種(八種)出てくるはずですが・・・。もう一度確認してみてください。



05-13 荻絵香木
  05-13 荻絵香木 協力詰 57手
 
     
     
               
             
             
               
                 
             
       
 

15歩 同玉 16歩 同玉 17歩 同玉 97龍 16玉 17歩 15玉
16歩 14玉 15歩 13玉 93龍 73角 14歩 同玉 15歩 同玉
16歩 同玉 17歩 同玉 97龍 67香成 18歩 16玉 96龍 66成香
17歩 同玉 97龍 37桂成 18歩 16玉 17歩 15玉 95龍 65成香
16歩 同玉 96龍 36成桂 17歩 同玉 97龍 77金 18歩打 16玉
17歩 15玉 16歩 14玉 15歩 13玉 23香成 まで


荻絵−もうちょっとパズル性を増せたら良かったのですが、余詰めに悩まされました。 願わくば七種合にしたかった・・・ってそれは無理か。

☆冒頭で述べた「移動合」についての心配は、主に本作に関するものでした。 解答者の反応を見る限りでは、大丈夫だったと思いますが。
本作はユニークな狙いで、作者の特質を発揮していると思います。


隅の老人B−狙いは看破し易いが、解いて楽しい。全部移動合とは、小賢しい。

チャモ−手数と難しさは関係なし!!8手目の変化が多少複雑ですが、後は一本道!!

小峰−これも長編ですが、配置から手順をかなり推測出来るので易しかったです。 それぞれ両端に閉じ込められている竜と玉が上下しているうちに詰むのが不思議な感じ。 玉方の桂成の位置が57だと後で角筋が通らなくなる等、小技が効いている。

吉川−金と桂をどかすために香と角が連鎖的に邪魔になる。上手く出来てますね〜。

北村−最初はどんどん玉側に近づけてくると思ってたので、うまくいかずに困りました。 玉が1筋にいたまま、角筋の駒を2枚どけれると気づくのは難しかったです。 どんどんほぐれていく様は快感でした。

たくぼん−いや〜面白かった。合駒問題というより知恵の輪のような味で今回の目玉ですね。

橋本−この課題で知恵の輪型の作品が見られるとは思いませんでした。 工夫すればもっと本格的な謎解き問題になるかもしれませんが、 新人作家の作品としては出色の出来ではないでしょうか。

もず−パズル的で楽しめました。どの駒を移動合するかも意外に選択肢が多くて手頃な難易度でした。 角筋を通すという意味付けが明快なのがうまくいった要因でしょうか。

若林−ピンされている龍の縦移動で移動合いを何度も引き出す構成に唸る。 これこそ協力詰、というパズル風味あふれた作品。

☆作者には、この作品に窺えるようなパズルチックな方向性も期待しましょう。



総評
たくぼん−全13題、楽しませていただきました。皆さんの作図力に脱帽です。

隅の老人B−この条件(「3種以上の合駒」)は難しいと考えていましが、参加の皆さんは楽々?クリァー。
七種合(3題)までありました。恐れ入谷の鬼子母神、吃驚仰天、そして感心。
フェアリーの世界は花盛り。

☆特にたくぼんさんの八面六臂のご活躍には目を見張りますね。 隅の老人Bさんの解図力にも脱帽です。

北村−しかし、3種合以上と言っても皆さん簡単(?)に7種合を作られるので参りました。 (全然3種で限界でした。)どれも面白かったです。
13題もあるから、自分の2作が削れてればどんなによかったことか・・・ と改めて思いました。

☆うーん・・・。とりあえず、すみませんと謝っておきます。

橋本−好みの作品は05-13、05-7、05-4の3つ。
課題創作という付加価値に頼ることなく、作品自体が価値を持っているところに惹かれます。

☆さすがの視点ですね。

チャモ−総評、駒数が多い問題は難しい・・。合い駒三種となると、似た問題がよく出てきてしまうようですね。

☆創作のほうも期待していますよ。

若林−今までサイレントに解いておりましたが、初回答を送らせて頂きます。 合駒問題13問はちょっとお腹一杯。でも、食べただけの甲斐はありました。

☆実力者の初解答、うれしかったです。

小峰−易しいものが多かったですが、何故かたくぼんさんの作品が難しかったです。
第6回作品展には僕も努力して参加したいと思っています。

たくぼん−今後は年4回とか、すごく楽しみです。ご苦労が増えますがよろしくお願いします。

☆ご両人を初め、みなさん、今後とも宜しくお願いします。



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おもちゃ箱 - 詰将棋メモ 2005年07月08日