KAMINA PUBLICATIONS/問題19


 問題 X、Y、nは X−Y19 を満たす整数です。 ただしnは2以上とします。
このとき、X−Yの最大値は?

 解答 X−Yの最大値は19
解答者は、北村太路氏平石司氏もず氏の3名(解答到着順)。全員正解でした。

 解説 年末から年始にかけていろいろと不手際を重ねてしまい申し訳ありません。
嫁さんからは「とうとう焼きが回った?」と言われる始末。
なので、当初予定していた解法は割愛します。すみません。

お気軽解法:
−Y19はX−Yを因数に持つ。
したがって、X−Yの最大値は、適当なn、X、Yが存在するとして19。 実際にn=2で試すと、X=10、Y=−9が条件を満たす。

 北村太路氏
(答)19


X^nが「Xのn乗」を表すとします。
X^2−Y^2=(X−Y)(X+Y)
X^3−Y^3=(X−Y)(X^2+XY+Y^2)
X^4−Y^4=(X−Y)(X^3+X^2×Y+X×Y^2+Y^3)
・・・
X^n−Y^n=(X−Y)(X^(n−1)+X^(n−2)Y+X^(n−3)


Y^2+・・・+X^2×Y^(n−3)+X×Y^(n−2)+Y^(n−3))


とX^n−Y^nは(X−Y)を含む式に展開できます。
X−Yを含まない右側の式はべき乗と加算記号しか出てきませんのでXとYが整数 だということから必ず2整数になります。
X−Yも整数です。


19は素数なので、整数×整数で19になる組み合わせは、
19×1
1×19
−1×−19
−19×−1
に限られます。
もし、X−Y=19になるようなXとYとが見つかれば、それがX−Yの最大値、と いうことになりますが、
X=10、Y=−9、n=2とすれば
X−Y=10−(−9)=19
X^n−Y^n=10^2−(−9)^2=100−81=19
なので、X−Y=19が取りうる最大値であることがわかります。


(前の答を切り貼りして楽しました。)
北村さんからは間違った問題での解答もいただきました。というかそれで間違いに気づいたのですが...

 平石司氏
 左辺を因数分解すると、


  X−Y=(X−Y)(Xn-1+Xn-2Y+Xn-32+…Yn-1


 X、Y、nは整数なので、各因数も整数。19は素数なので、因数の一方は1、もう一方は19です。
 −1と−19という組合せも考えられますが、最大値を考えているので、プラスだけ考えればよい。
(ちょっと不正確な言い方ですが、正確に言おうとすると煩わしいので)


 一番簡単そうな、n=2の場合を考えてみます。
 X−Y=19と仮定すると、X+Y=1。したがって、X=10、Y=−9。これは問題の条件を満たしています。
 これより大きな値は無いので、これが最大値です。
 と、「とっても簡単に解けてしまい」ました。
 そこで挑戦:X、Yが自然数という条件では?。
 n=2の場合、X−Y=19では不可。
 X−Y=1なら、X+Y=19。したがって、X=10、Y=9。これは可。
 しかし、n>3で、X−Y=19があるかもしれない。
 その場合、第2因数(Xn-1+Xn-2Y+Xn-32+…Yn-1)は1になる。
 第2因数は、項数がn個あり、いずれの項も正なので、n以上になる。1にはならない。
 というわけで、X−Yの最大値は1です。


 やはり簡単に解けてしまったので、さらに挑戦。
 「自然数」は、0から始まるものとする考えがあるので、Y=0を許したら?。
 Y=0とすると、X−Y=19なので、X=19。
 これで、nは2以上、Xは自然数ということは、ありえない。
 したがって、Y≠0。これは、「自然数」にゼロを含めないとするのと同じことになる。


 それでは、「X−Y=2007」だとどうなるでしょう。
 2007=32×223なので、かなりややこしいですね。幾何以外でややこしいのは、パスします。


 問題19については、以上のことしか考えませんでした。
 懸賞17に関連しては、正三角形への点の配置について書いてしまったので、まだそのことでいろいろと遊んでいます。やはり、懸賞17の関連問題 では、あと千年くらいは遊べそうです。


第2信


 先のメールで、


> それでは、「X−Y=2007」だとどうなるでしょう。
> 2007=32×223なので、かなりややこしいですね。幾何以外でややこしいのは、パスします。


と書きましたが、難しく考えていました。
 問題を「右辺が奇数」とすると、素数でなくても同様の結論になることに気づきました。



> X、Y、Z、nは X−Y=2Z+1 を満たす整数です。ただしZは正、nは2以上とします。
> Zを固定したとき、X−Yの最大値は?


 n=2、X=Z+1、Y=−Zとすると、条件を満たし、X−Y=2Z+1となります。


  X−Y=(X−Y)(Xn-1+Xn-2Y+Xn-32+…Yn-1


ですが、X、Y、nは整数なので、各因数も整数。したがって、第1因数「X−Y」は、2Z+1の約数です。
 2Z+1の約数の最大のものは2Z+1自身ですから、X−Yは2Z+1を超えることは無い。
 したがって、X−Yの最大値は、2Z+1です。
 特に、「X−Y=2007」の場合、X−Yの最大値は2007です。

 「整数」でなく「自然数」とすると、「Y=−Z」にできないので、ややこしくなります。たぶん、2007の場合、669です。
こっちの方が、面白かったのではないでしょうか。
 また、右辺を奇数でなく偶数とすると、もっとややこしくなります。
 でも、もしかしたら、案外簡単なのかもしれませんが。


第3信


 先のメールで、


> それでは、「X−Y=2007」だとどうなるでしょう。
(中略)
> 「整数」でなく「自然数」とすると、「Y=−Z」にできないので、ややこしくなります。たぶん、2007
>の場合、669です。こっちの方が、面白かったのではないでしょうか。


と書きましたが、これは間違っていました。


  X−Y=(X−Y)(Xn-1+Xn-2Y+Xn-32+…Yn-1


ですが、「自然数」とすると、X、Y≧0、n≧2なので、


  X−Y ≦ X ≦ Xn-1 ≦ Xn-1+Xn-2Y+Xn-32+…Yn-1


です。第1因数は、第2因数を超えることはありません。ですから、X−Yは、高々9です。
 実際、X=116、Y=107、n=2は条件を満たすので、X−Yの最大値は9です。


 一般的に、「X−Y=奇数」の場合は、この奇数の平方根を超えない最大の約数が、X−Yの最大値となります。
 また、右辺を奇数でなく偶数とすると、やはりややこしいです。


研究ありがとうございます。
実は以前、別の方向で同じような問題を出したことがあるんです。結構奥深い?ですよ。
今はなつかしいパソコン通信の掲示板への投稿記事を再掲して置きます。
  X^NーY^N=1999を満たす自然数X、Y、Nは?
  ただしNは2以上

【答】

        2    2
    1000 −999 =1999

【答までの道のり】

自然数は無限にあるので、何の準備もなしではしらみつぶしもでき
ません。なんとか調べる範囲をしぼり込む必要があります。
まず分かるのは、当たり前ですが Y < X、つまりY <= X-1。
よって、X^N-Y^N >= X^N-(X-1)^N です。
次に、X^N-(X-1)^N >= X^2-(X-1)^2、
および、X^N-(X-1)^N >= 2^N -(2-1)^N です。
つまり、1999 >= 2X-1、1999 >= 2^N-1。
以上を整理して、
  X <= 1000、Y <= X-1、N <= 10
というふうに各自然数の範囲(上限)が決められました。
あとは UBASIC の力技で答が出せますが、

   10   for N=2 to 10
   20   for X=2 to 1000
   30   for Y=1 to X-1
   40   if X^N-Y^N=1999 then print X;"^";N;"-";Y;"^";N;"=";1999
   50   next Y
   60   next X
   70   next N

さすがにこんなプログラムでは、瞬時に答を出すというわけにはい
きません。以下のように少しは工夫可能ですが、

   10   for N=2 to 10
   20   X=2
   30   Y=X-1
   40   Z=X^N-Y^N
   50   if Z>1999 then goto 90
   60   if Z=1999 then print X;"^";N;"-";Y;"^";N;"=";1999
   70   Y=Y-1
   80   if Y>=1 then goto 40
   90   if Y=X-1 then goto 120
  100   X=X+1
  110   goto 30
  120   next N

goto 文が乱用してあって、我ながらへたくそなプログラムだ思い
ます。バグも心配だし。

もう少し手抜きをしたいものです。
問題の左辺は次のように因数分解できます。
  (X-Y)(X^(N-1)+...+Y^(N-1))=1999
したがって X-Y は 1999 の約数ということになりますが、1999 は
素数なので、X-Y=1 となります。つまり X=Y+1。
(あきらかに X-Y=1999 とはならない)
あとは紙と鉛筆だけでも簡単に調べあげることができるでしょう。

さらにさらに。
池田さんの、N が偶数なら問題の左辺は X+Y も因数に持つという指
摘は、もっと一般的に N が M 倍数なら問題の左辺は X^(M-1)+...+Y^(M-1)
を因数に持つというふうに言えます。1999が素数であることを考え
あわせると、そういう事態は好ましくないので、N は素数というこ
とになります。
さらに、Y は 1998の約数という ICHI さんの指摘は、(Y+1)^N-Y^N-1
を展開することによって得られる(次式)わけですが、
  (Y+1)^N-Y^N-1=N*Y^(N-1)+...+N*Y=1999-1=1998=2*3*3*3*37
この式もなかなか使えます。まんなかの N*Y^(N-1)+...+N*Y ですが、
N が素数だと Y^? の係数はすべて N の倍数です。つまり、この式自
体が N の倍数となっているわけで、以上を総合すると N の可能性と
しては、2 と 3 しかなくなってしまいます。
ここまでくれば調べ上げるまでもなく、単なる1次方程式と2次方
程式になります。

 もず氏
問題19の解答は「19」です。
X^n - Y^n を因数分解すると X-Y が出てくるので、 19が素数であることから、X-Yは-19,-1,1,19 のどれか。
n=2,X=10,Y=-9 のとき X-Y=19 となります。


ありうる組み合わせは次のものですべてだと思います。
n=2, X=10,-10, Y=9,-9
n=3, X=3, Y=2
n=3, X=-2, Y=-3
そうですね。これで全てです。
実はこの答えを眺めていて、X−Yが19になるものがあるじゃん! とぬか喜びして問題19にしてしまったんですねぇ。

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