KAMINA PUBLICATIONS/懸賞18解答


 懸賞 18桁の自然数Aがあります。Aの上9桁と下9桁を入れ換えて18桁の自然数Bを作ったところ、BはAの倍数になりました。
AとBの最上位桁は何でしょうか。
ただし、A≠Bとします。
『入れ換え』の解説を少々。A=112233445566778899のとき、B=566778899112233445です。 この例では残念ながらBはAの倍数にはなっていません。

 解答 Aの最上位桁は、Bの最上位桁は
解答者は、北村太路氏岡田麻知弘氏若林氏もず氏の4名(解答到着順)。全員正解でした。 ちょっと難しかったようで解答が少なかったので色々かさ上げしました。
厳正なる抽選の結果、「東京おとなクラブ」懸賞当選者は若林氏となりました。送付先をお知らせください。

 解説 Aの上9桁をC、下9桁をDとします。
また、BはAのm倍だとします。


A=10×C+D
B=10×D+C
B=mA


したがって、


(10−m)×D=(m×10−1)×C


となります。
10−mとm×10−1の最大公約数をGとすると、 Cは(10−m)/Gの倍数、 Dは(m×10−1)/Gの倍数になります。 それで、mは2以上(A≠B)、9以下(10以上だとBの桁数が18を越えてしまう)なので、 この範囲のmについて10−mとm×10−1を素因数分解してGを求めてみたのが下表です。


10−m m×10−1 Cの最小値=
(10−m)/G
Dの最小値=
(m×10−1)/G
2×691×723589 31×64516129 999999998 1999999999
71×2251×6257 16937×177127 999999997 2999999999
2×2×3×83333333 3×157×8492569 333333332 1333333333
5×89×1447×1553 17×14033×20959 999999995 4999999999
2×7×71428571 7×1483×577979 142857142 857142857
3×17×19607843 3×10163×229591 333333331 2333333333
2×2×2×499×250501 1999×4002001 999999992 7999999999
67×14925373 151×523×113963 999999991 8999999999


この表から、


C=142857142
D=857142857
A=42857142857142857
B=57142857142857142


がわかります。
10−mとm×10−1の素因数分解はちょっと大変かもしれません。
ユークリッドの互除法を用いると最大公約数は割りと簡単に求められます。
とりあえず、(m×10−1)−m×(10−m)=m−1を素因数分解する手もあります。

 北村太路氏
解法)
Aの上9桁をx、下9桁をyとします。

問題文より、n(1,000,000,000x+y)=1,000,000,000y+x
移項して、(1,000,000,000n-1)x=(1,000,000,000-n)y・・・@

まず、nについて考えます。
A(18桁)をn倍しても18桁(B)のままなので、n<10。
またA≠Bなので、n>1。
nは2〜9までの整数です。

次に@の式について考えます。
1,000,000,000n-1をv、1,000,000,000-nをwとします。
vとwが互いに素だと仮定すると、@の式が成立するにはyがvの倍数ではないといけませんが、
yは9桁、nが2〜9までの整数なのでvは10桁なので、そのようなyとvはとれませんので
仮定が間違っていたことになります。

vとwの最大公約数をuとします。
vとwは互いに素ではないのでu>1です。
?の式を変形して、
u(v/u)x=u(w/u)y

両辺をu(v/u)で割ると
  (w/u)y
x=------
   v/u

uが最大公約数なので、w/uとv/uは互いに素。
そしてxが整数ですので、yはv/uで割り切れることになります。

ここから力ワザで、nが2〜9までの間のvとwの最大公約数uを求めてみます。
「なんとか(名前を失念)のふるい」という方法で求めてみました。

「なんとかのふるい」の方法、2つの整数がある。
大きい方から小さい法を引く、差があればまた大きい方から小さい方を引く。
同じ値になったら、その値が最大公約数。

例)  234  54
     ---------
      180  54
     ---------
      126  54
     ---------
       72  54
     ---------
       18  54
     ---------
       18  36
     ---------
       18  18

18が最大公約数。

で、おのおの計算。
n=2、v=1,999,999,999、w=999,999,998、vとwの最大公約数u=1。 
n=3、v=2,999,999,999、w=999,999,997、vとwの最大公約数u=1。 
n=4、v=3,999,999,999、w=999,999,996、vとwの最大公約数u=3。 
n=5、v=4,999,999,999、w=999,999,995、vとwの最大公約数u=1。 
n=6、v=5,999,999,999、w=999,999,994、vとwの最大公約数u=7。 
n=7、v=6,999,999,999、w=999,999,993、vとwの最大公約数u=3。 
n=8、v=7,999,999,999、w=999,999,992、vとwの最大公約数u=1。 
n=9、v=8,999,999,999、w=999,999,991、vとwの最大公約数u=1。 

u>1でなくてはいけないので、n=4,6,7のいずれか。
n=4、7の時は、
n=4、v=3,999,999,999、u=3、v/u=1,333,333,333
n=7、v=6,999,999,999、u=3、v/u=2,333,333,333
で、v/uで割り切れる9桁のyはないから不適。

n=6の時
n=6、v=5,999,999,999、u=7、v/u=857,142,857
v/uで割り切れる9桁の数は、857,142,857そのものしかありえないので、
y=857,142,857

  (w/u)y  999,999,994/7*857,142,857
x=------=---------------------------=142,857,142
   v/u           857,142,857

よって、A=142,857,142,857,142,857
        B=857,142,857,142,857,142

ということで最上位桁は1と8。

感想)
見慣れた数字(142857)でがっかり。7分の1、7分の6、というやつですね。
しかし、問題、答えに18が出て、なおかつ唯一解なことに気づいた人間が偉い、とも言える。
途中力ワザでなく、なんとかしたかった。
エレガントな解法が披露されるのが楽しみです。
東京もウルトラQも興味がないので、そういうのが好きな人に当たることを望みます。
「なんとか(名前を失念)のふるい」というのは「エラトステネスのふるい」のことでしょうか。これは最大公約数を求める方法ではなくて素数を拾い出す方法ですね。

 岡田麻知弘氏
御無沙汰しております。
A=1
B=8 ・・・ 他にもあるのか否か...:-J
(B=6A)
大学の同級生。山口で高校の先生をしている。年賀状の返事として寄せられたものですが、正解なので載せました。ごめん>岡田

 若林氏
年賀パズル、今回は難しいですね。Bの最上位桁が4以上で あることくらいしか見えていません。単純に最上位桁(と10桁目だけ見ても) 39通り残りますね。まあ、答えは(1,8)だと当てずっぽうで行って 当たったとしても存在証明はともかくそれ以外ないことの証明が難しそうです。
別件メールの余談として寄せられたものですが、正解なので載せました。ごめんなさい>若林さん

 もず氏
A = 142857142857142857
B = 857142857142857142
A*6 = B
が答えです。

A = X*10^9 + Y
B = Y*10^9 + X
A*n = B 
(10^8 <= X,Y < 10^9。nは2から9までの整数。)
とおく。

B = A*n に代入して変形すると
Y*10^9 + X = (X*10^9 + Y)*n
Y*(10^9 - n) = X*(n*10^9 - 1)
             = X*( n*(10^9 - n) + n^2 - 1 )
移項してまとめると
(Y - n*X)*(10^9 - n) = X*(n^2 - 1)           (*)

これより、Y > n*X。
Y < 10^9 なのでX < 10^9 / n がわかる。
10^9 - n と n^2 - 1 の最大公約数をdとおくと、
(*)式より、(10^9 - n)/d はXの約数でなければならない。
特に、X >= (10^9 - n)/d 。
もし、10^9 / n >= (10^9 - n)/d が成立していると、求めるXは存在しない。
すなわち、(10^9 - n)*n < 10^9 *d が必要。
特に、n <= d が必要なことがわかる。
表を作る。

 n   10^9 - n  n^2 -1  d
--------------------------
 2   999999998    3    1
 3   999999997    8    1
 4   999999996   15    3
 5   999999995   24    1
 6   999999994   35    7
 7   999999993   48    3
 8   999999992   63    1
 9   999999991   80    1
この表より、n >= d が成立しているのは n=6 のときだけ。 このとき、(10^9 - n)/d = 999999994/7 = 142857142 がXの約数。 X >= 10^8 から X = 142857142 となるしかなく、 これを(*)式に代入して計算すると Y = 857142857 となる。 たしかに、 142857142857142857 * 6 = 857142857142857142 となっている。
もずさんは、締切ぎりぎりで解答してくださいました。ありがとうございました。

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