JEWEL BOX #02
2006/09/10 出題
さて、第2回目の作品展です。
またしても2桁の作品が集まりました。手数を99手まで拡大したのが多少効いたかも。
いずれにせよ、投稿いただいた皆さんにはお礼申し上げます。
解答締切は2006年10月13日(金)です。解答もよろしくお願いします。

※解答のついでに中編の手数区分に関してのご意見もいただけるとうれしいです。
※次回は手数の下限を撤廃しようかと思っています。中編中心の作品展であることに変わりはありませんが。
※開催月も3月・9月から5月・11月に変更予定です。

2006/09/16 修正
もずさんから連絡があり、第9番は早詰で、「取禁」ルールを付加して修正します、とのこと。
修正版でそのまま解答募集は継続しますので、皆さんよろしくお願いします。

PDF版は こちら から。

2006/10/15 結果発表
解答者は、若林さん、小峰耕希さん、神無七郎さん、真Tさん、たくぼんさん、隅の老人Bさん、もずさん(解答到着順)の7名。
難問が多かったようで、全題正解はなし、全員正解は第4番の1題のみという結果でした。解答状況の一覧は こちら から。

結果をご覧になった感想等お寄せください。ここに記録していきます。
特に、解答がなかった/少なかった作品に関してよろしくお願いします。

2006/10/14 小峰耕希
第1番…作者が成銀を残念がっているのは意外ですね。限定成は悪くないと思うのですが。
第2番…千日手系の感覚にまだ慣れていないせいか、ドッキングをしようにも序も収束も全く予想出来ず。
第3番…時間が取れませんでした。残念。
第4番…早く折り返すのが謎解きで面白いという見方もあるのですね。でも僕なら何とか端まで持って行きたいように思います。
第6番…解答時の作者の言葉は絶対に嘘です!
第7番…僕が見つけた中での最短解は確か44手でした。このシリーズは解いてる時は楽しいのですが、作意手順が全然わからないんですよね。
第8番…ちゃんと手順は見ていませんが、どうやら詰上り想定からして間違えていたようで…。
第9番…どうしても2手長くなってしまいました。
第10番…解答時にも書きましたが、手順には感心、ルール設定には疑問という作品です。千日手の定義も七郎さんが仰る通りだと思いますし。
第11番…こちらも時間が取れませんでした。残念。

2006/10/17 もず
第1番 この詰め上がりは考えませんでした。てっきり38銀が生で残るのかと。
第3番 それほどたくさん考えたわけではありませんが、時間をかければ解けたかというと……。
第8番 お見事としか言いようがありません。
第11番 飛合は完全に視野の外で、いろいろひねった手順ばかり考えていました。

第9番で、取禁がないときの早詰順は以下の通りです。
この手順も面白い感じがします。(非限定は消えなさそうですが)
13飛 14歩 同飛 15歩 同飛 18歩 16炮 38騎 35飛 57騎
58歩 76騎 77歩 97騎 17炮 27歩 76歩 28歩 57歩 37歩
56歩 38歩 37飛 47歩 35飛 48歩 37飛 57歩 35飛 58歩
37飛 67歩 35飛 68歩 37飛 77歩 35飛 78歩 95飛 89騎
85飛 88歩 87炮 97騎 95飛 96歩 75飛 まで47手

2006/10/19 若林
千日手は銀2枚で駒を2枚取った方が早い順を探していたのですが、 やはりそうそうそんなに虫の良い手順は落ちていません。 ステイルメイトのほうは今回ははっきり爆撃です。 収束が面白くなりようがないので、 限定ならいいや、 と思っていたら歩の移動合いが飛び出して喜びましたとさ。

七郎氏のステイルメイトは粘ってみれば解けたかもしれない。 序は脳内で考えたとおりだったし、 龍でピンするのも想定の中だったし。 ちょっと勿体なかった。 もず氏の2題は並べて唸るのみ。

ルール説明
【安南】味方の駒が縦に並ぶと、上の駒の利きは下の駒の利きになる。
【アンチキルケ】取った方の駒が、最も近い将棋での指し始め位置に戻される。戻せないときはそのまま。
【PWC】取られた駒は取った駒が元あった場所に復元する。
【銀王】王の性能(利き)が銀。
【炮】中国将棋のPao。動きは飛車に同じ。駒を取るときは、その線上で駒を1つ跳び越してその先(直後でなくてもいい)にある駒を取る。
【騎】チェスのナイト。八方桂。
【異王(炮/騎)】先手王の性能(利き)が炮で、後手玉の性能(利き)が騎。
【連続】先手または後手が連続して駒を動かす。その間、王手をかけたり、王手がかかったりしてはいけない。
【成禁】成る手は禁手。
【取禁】取る手は禁手。
【千日手禁】千日手になる手(同一局面4回目になる手)は禁手。
【ばか詰】先後協力して最短手数で受方玉を詰める。
【ばか自殺詰】先後協力して最短手数で攻方王を詰める。
【ステイルメイト】王手は掛かっていないが、合法手のない状態。
【ばかステイルメイト】先後協力して最短手数で受方をステイルメイトにする。ただし、最終手のみ王手を掛けなくてよい。
【ばか自殺ステイルメイト】先後協力して最短手数で攻方をステイルメイトにする。
【ばか千日手】先後協力して最短手数で最初の局面に戻す。

問題 解答・解説・感想
第1番 たくぼん



28銀 18玉 19銀 29玉 18銀 同銀右生/27銀 38銀 28玉 37銀/38銀 39玉
48銀 28玉 39銀 同銀成/38銀 29銀 同銀生/18銀 17銀/18銀 19玉 28銀 まで 19手

作者
初形だけは美しいかな。

若林
意外に銀1枚でも詰み形がたくさんあるものですね。
この作品があって助かりました。いきなり2番はアレなので……

小峰耕希
例によって詰上りを想定してのドッキング解法を試みたのですが、 最後の3手を37銀/26銀、19玉、28銀迄と思ったために苦戦。 続いて某解答強豪を見習って、ひたすら解法で行ったら解けました。
詰上り39全の形は成生非限定が生じるかと思いましたが、 1回目が先手からの取りなので成立しているのですね。 その銀を成らせる辺りまではスローテンポな印象を受けますが、 以降にスピード感があるので、解後感はまあまあと思います。

真T
18銀、29銀の形をすぐに作ろうとしたために苦労しました。14手までで39に成銀を作っただけなのに、 そこから5手で一気にその形になるのが気持ちよかったです。

作者(解答時)
当初詰め上がりには成銀がないものだったのにいつの間にか成銀が・・・残念。

隅の老人B
楽しい銀繰り。金繰りでなくて、良かった、良かった。

第2番 若林



38銀 48玉 37銀 47玉 29角 38飛 同角 同玉 39飛 47玉
49飛 48銀 同飛 37玉 47飛 28玉 48飛 38角打 29銀打 37玉
47飛 同玉 まで 22手

作者
初手が絶対なので、持駒に香を入れた(作意同じ)ペテン作にする誘惑もありま したが、ごく普通のばか千日手にしました。18銀を動かさなければ難しくはないでしょう。

※FM検討は下図で行っています。
※原理的に枠を壊すと枠を復活させつつ外に駒を残さないのは不可能な筈なので。
※枠駒は少なくとも16歩は削れますが、明解にするため配置しています。



作者(解答時)
これで18銀が動かないのは今見ると拍子抜けする。

真T
最初適当に駒を動かしたら30手。そこから動かすたびに2手ずつ減っていって解けました。このような問 題はどう考えて解いたらいいのでしょうか?
ばか千日手は達成図が判っているという特性があります。というわけで、たくぼんさんのコメントを参考にしてください。

たくぼん
逆算と順算の合体解法で解きました。しかし3手目4九銀を主に読んで意外と時間がかかりました。

隅の老人B
銀合は兎も角、飛合が解らず悩む。千日手では、駒を取りたくないね。

もず
収束は見えていましたが、角を17から打つ手順ばかり考えていて遠回りしてしまいました。

第3番 若林



後手持駒 なし

45角 64玉 63角成 75玉 85馬 64玉 86馬 54玉 87馬 63玉
96馬/87歩 53玉 97馬 44玉 88馬 34玉 89馬 33玉 99馬 88歩生
同馬 24玉 33馬 14玉 26歩 まで 25手

作者
今回は角版です。不純物(22と)が入った変わりに 歩の入手手順に工夫が必要になりました。

作者(解答時)
収束は普通なので、歩の入手手順をどう見てもらえるか。

たくぼん
9九馬〜8八馬が唸る手順。直接取りたくなる逆を突く。

隅の老人B
解ければ、玉と馬との楽しい散歩?。いいえ、3日間の難行苦行でした。

第4番 吉川慎耶



18飛 29玉/19歩 28飛 39玉/29歩 38飛 49玉/39歩 48飛 59玉/49歩 58飛 69玉/59歩
68飛 79玉/69歩 78飛 89玉/79歩 88飛 99玉 98飛/88香 89玉 99飛 79玉/89歩
88歩 69玉/79歩 78歩 59玉/69歩 68歩 49玉/59歩 58歩 48玉 49香 58玉/48歩
59飛 まで 31手

作者
前回は参加出来なかったので強引に作りました。

若林
復路の途中で綺麗に飛び道具が二本並ぶ。折り返しの手順が好み。

小峰耕希
改善案となると難しいようですが、収束の尻切れが不満材料。

神無七郎
どこで止まるか考えさせる問題。
個人的には素直に端まで追うよう作った方が良いとは思いますが。

真T
趣向が途中で終わってしまうのが残念に思えました。

たくぼん
易しい趣向です。帰りが中途半端な感じが惜しい。

隅の老人B
行きはよいよいだが、帰りは戻り過ぎて苦しむ。楽しい軽趣向でした。

もず
折り返しがうまく入ったのと、収束に駒を追加しなくて済んだことで価値が出ましたね。

第5番 たくぼん



84金 同玉 75金 94玉 85金 同金 95歩 74玉 75歩 同玉
76歩 64玉 65歩 同玉 66歩 54玉 55歩 同玉 56歩 44玉
45歩 同玉 46歩 34玉 35歩 同玉 36歩 同玉 37歩 26玉
27歩 16玉 17歩 25玉 26歩 24玉 25歩 まで 37手

作者
指の運動用です。考える所はほとんどないです。

若林
銀を利用した玉の送り方が面白い。序がついてちょっとした伝統ルールの感触。

小峰耕希
最初84玉の時は「飛王」なのに気付かず、歩が余る? と思ってしまいました。
趣向手順をちゃんと端までやっているので、悪くないと思います。

作者(解答時)
安南らしさもなくつまらない。

隅の老人B
最後の突き歩が小粋、桂頭の玉の弱点を突く。

もず
出だしで8手目が見えなくて苦労しました。
収束の突歩詰が安南らしくていいですね。

第6番 たくぼん



後手持駒 なし

73歩 63玉 64歩 52玉 63歩成 43玉 44歩 54玉 64と 44玉/51玉
52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉
52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉
52歩 同玉/51玉 52歩 同玉/51玉 52歩 42玉 43歩 33玉 34歩 44玉
54と 同香/91香 まで 42手

作者
歩18枚をやってみたかったのですが、中途半端な12枚居食い消去は果たして どうだったか?完全検討に36時間かかりました。後手の持駒ありにすると 巧妙な余詰が生じます。

若林
歩を18枚打つ、成って取らせる(43-44-54、63-64-54)と21手が決まっているのに意外と難航。先に44とを行っておく手順がアクセントになっていい作品です。

真T
最初に64とまで作るのがポイントですね。最初、11を埋めなければいけないかと思ってしまいました。

作者(解答時)
日記でヒントを書いたので分かりやすかったでしょう。後手持駒ありでもよさそうですが、それだととんでもない余詰があります。

隅の老人B
最終図は予想通り。と金だけを残しての浪費生活、少し羨ましい。

もず
狙いはわかりやすいですが、実現までの道のりは少し考えさせられます。
解くよりも作る方がずっと大変なタイプの作品でしょう。

第7番 もず



後手持駒 なし

26銀生 37銀生 46銀生 57銀生 66銀生 77銀生 86銀生 87銀生 96銀生/87歩 85銀
76銀 87銀生/76歩 96銀生 85銀 74銀 65銀 76銀/65歩 67銀生 56銀生 45銀
54銀 65銀/54歩 56銀 45銀 34銀 25銀 16銀/25歩 27銀生 36銀生 25銀/36歩
34銀 43銀 54銀/43歩 45銀 36銀 45銀 54銀 63銀 52銀 43銀/52歩
44銀 53銀 まで42手

・後手が42手連続で動かして先手王(51銀)をステイルメイトにして下さい。
・手順中で、先手王(51銀)に王手をかけたり、  後手玉(17銀)が王手のかかる位置に移動したりしてはいけません。

作者
だいぶ難解になってしまいました。
不規則な手順なのに限定されているのが不思議です。

前回の金版は「歩のうち8枚を取る→最後の1枚を上段へ」という構成になっており 今回もそのような趣向的な手順を模索していたのですが、 余詰筋を読んでいくうちに残ったのはこんな手順でした。
そんなわけで難解になったのは意図的ではありません。
序盤は手なりに進みますが、20手目は65銀/56歩としたくなるところだと思います。
実はこの歩が最終的に残る駒なので下段に下げてしまうと手数が余分にかかるのですが、 これでどうしてうまくいっているのか本当のところは私にもよくわかっていません。

たくぼん
あと2手縮まらない(無念)。

隅の老人B
パス。いや、降参です。ややこしいルールは私にはムリ。

作者(解答時)
この手順は銀が盤面の外に出られないということに強く依存したものになっており、 この盤面の大きさでしか実現できないという点を気に入っています。
解くためには次のような順に思考していくことになるでしょうか。
・銀玉を成るとステイルメイトにできないのでずっと不成で行くしかない。
・そのため、歩は斜めにしか動かせない。
・となると、できるだけまっすぐ前に進む動きは減らしたいので、はじめに偶数筋にある歩を消してから奇 数筋の歩を消しにかかるのが効率的。(実は1筋の歩を先に消す手順も有力ですが)
・ジグザグに動いて86まで来てからどうするか。
・9筋の歩を消しながら上に出てくるのはいいとして、そのあとが難しい。
・歩を斜めに並べて消すというのを繰り返しながら右辺に向かうと、2手長となります。
・歩を斜めに並べるのではなく、大ゲイマの配置でも場合によっては効率的になることに気付くことが重要 。(35手目の36銀の部分)
・そして、歩を下におろすことは望ましくないと気付けばあとはもう少し、だと思います。
基本的にひたすら動かして考えるしかないと思われるので、 解かれる方にとっては大変なタイプの出題だったと思います。
この図を得たのは前回の解答発表前だったのですが、 前回の第10番に森茂氏から「このような作品を解くのが好きです」というコメントをいただき 今回投稿することを決断しました。
森茂氏にご覧いただけなかったことを残念に思います。

第8番 小林看空 「雁狩」



38歩 48玉 67歩 78歩 49歩 47玉 48歩 58玉 69角 67玉
78角 68玉 69歩 58玉 89角 49玉 67角 58歩 同角 38玉
47角 同と 39歩 28玉 47歩 38角 29歩 37玉 38歩 同と
59角 48と 同角 38玉 37角 58歩 39歩 同玉 28角 48玉
37角 57玉 48角 67玉 68歩 まで 45手

作者
心理的難解作狙いです。

若林
何度桂合の誘惑に駆られたことか。そして綱渡りのような手順。
見事なピンされた飛と盤面を一杯にを活用した中篇です。

たくぼん
4手目7八歩に気付くまでが大変。角を一旦渡すのもお約束とはいえなかなか気付き難い。

隅の老人B
最初に動けない飛と、角歩での詰上がり図を、あれやこれやと考える。
盤面を睨んで幾日経ったのか?。
こんな最終図を考え拵えて、逆算創作?。私には驚きです。

第9番 もず



後手持駒 歩18

15飛 18歩 16炮 27騎 25飛 39騎 35飛 38歩 36炮 47騎
45飛 59騎 55飛 58歩 56炮 67騎 65飛 79騎 75飛 78歩
76炮 67騎 65飛 48騎 45飛 29騎 25飛 28歩 26炮 37騎
35飛 49騎 45飛 48歩 46炮 57騎 55飛 69騎 65飛 68歩
66炮 77騎 75飛 89騎 85飛 88歩 86炮 97騎 95飛 96歩
75飛 まで51手

・先手王=46炮、後手玉=19騎

作者
第1回のときにためしに作ってみたら手数が51手になってしまい出品できなかった図です。
今回は99手までOKということで投稿します。

見ての通り、後手の持駒に歩を余してのステイルメイトが狙いです。
趣向的な手順を楽しんでいただければと思います。
飛で後手の歩を取り切る余詰筋が意外に厳しいのですが、 炮をroyal扱いにして、すぐに騎が動くと 王手がかかるようにすることで乗り切ったつもりです。



後手持駒 歩9

たくぼん
2手縮まらず(無念・もっと時間が欲しかった)

隅の老人B
第9番から第11番は時間切れと言うよりは、降参です。

作者(解答時)
前回のJEWEL BOXで、中編のテーマとして、 9枚の歩を並べるというのは手数的にちょうどよさそうと考えて取り組んでみました。
単に金か何かで追っていくことも可能だとは思いますが それではあまり面白くないのでいろいろな駒を考えた結果この組み合わせに落ち着きました。
ところが、手数を数えてみたらちょうど51手ということで前回の投稿は見送りとなり、 他に投稿するところもありませんでしたので手数制限が緩和された今回改めて投稿となりました。
当初は取禁は付けなくても大丈夫と読んでいたのですが、 予期せぬ早詰があり取禁が必要になってしまいました。申し訳ありません。


第10番 神無太郎 「百万石U」



82角生/91角 同角/91角 同角生/91角 同角/91角 同角生/91角 73金
同角生/82金 同金/82角 同角生/82金 同金/82角 同角生/82金 64金
同角生/73金 同金/73角 同角生/73金 同金/73角 同角生/73金 55金
同角/64金 同金/64角 同角/64金 同金/64角 同角/64金 46金
同角/55金 同金/55角 同角/55金 同金/55角 同角/55金 37銀
同角/46銀 同銀生/46角 同角/46銀 同銀生/46角 同角/46銀生 同銀成/46角
同角/46全 同全/46角 同角/46全 同全/46角 同角/46全 28銀
同角/37銀 同銀生/37角 同角/37銀 同銀生/37角 同角/37銀生 同銀成/37角
同角/37全 同全/37角 同角/37全 同全/37角 同角/37全 まで 53手

作者
戯作のつもりで作り始めたのだが、なんだか結構な完成品になってしまった。



若林
千日手を後手に適用する価値のある様式美。

小峰耕希
手順を全て書くのは大変なので、骨子だけ書きます。
1)攻方は「千日手禁」に引っ掛からないよう、 角に成生の選択肢がある場合、必ず不成を選択する。
2)受方は手数引き伸ばしのために、許される限り同一手順を繰り返す。
3)合駒の順は金×4+銀×2。銀が成れる事を利用して、 手順を可能な限り引き伸ばす。
4)よって、手順を数式風に書くと6×9−1.

千日手の定義には異論が出そうですね。この手順が正しいとすれば、 「千日手禁(但し連続王手千日手は普通の千日手と同等)」 という事になってしまいますから。
ただ、こういうふうにルール設定なら手順が成立する訳だし、 特にたったこれだけの配置で合駒順が限定出来るというのは感心します。

神無七郎
初手の選択は千日手利用物の常道ですが、銀の「成」を利用して、 合駒を限定させると同時に、サイクル数を増やしたのは巧いと思います。

それからルールについてですが、フェアリーでは 「千日手になる手」=「同一局面2回目になる手」 とした方が良いと思います。
それでも本作は中篇になりますよね?
同一局面2回目を禁じるルールだと、本作の場合、金合が限定できなくなってしまうんですよね。

真T
金合と銀合の限定の仕方がすごいきれいです。

たくぼん
お〜これは面白い。金と銀の限定の意味付けが実に上手い。また初手成では不詰な理由もルールを上手く使っていてさすがです。おまけに命名もさすがです。

もず
いちばんのユーモア作。角を成ってはいけない理由が面白いと思います。

第11番 神無七郎



32歩 同玉 21銀 31玉 32歩 41玉 31金 51玉 52歩 同玉
41銀 51玉 52歩 61玉 51金 71玉 72歩 同玉 61銀 71玉
72歩 81玉 71金 92玉 81銀 91玉 92香 82玉 83歩 同玉
95桂 94玉 93桂成 同玉 83桂生 82玉 91桂成 87飛 83歩 同玉
84歩 同飛成 93香成 同玉 94歩 同龍 83香成 同龍 94歩 同玉
86桂 同龍 95歩 同玉 96歩 同龍 87桂 同龍 96歩 同玉
97歩 同玉 98歩 同玉 99歩 同玉 まで 66手

・本作は単玉(攻方王がない)のため、ステイルメイトとは単に合法手のない状態のこと。

作者(出題時)
11金と12香の配置には目を瞑ってください。

作者
無防備小駒図式から、盤上に攻駒の残るステイルメイト。
単純に駒を全部捨てる余詰をうまく消せず、 11金と12香を置いてしまいました。



真T
11金、12香の配置はヒントになりますね。飛合でうまく歩を消費するのが楽しい手順でした。

たくぼん
もず作に時間を引っぱられてほとんど考えられなかった。申し訳ない。

総評など
若林
無解の3題に充分に時間を割けなかったのが残念。11番は桂成での空き王手で上部にステイルメイトの密集系を作るのだろうけれど、それ以前に挫折。解けた中では8番の印象が非常に強く、楽しめました。

小峰耕希
多分結果稿が出た時にあれこれ書くので、今回は割愛。

神無七郎
今月は余裕がないので手付かず。先月解いておいた分だけを送ります。

真T
第1番に時間をかけてしまい、4問ほど無解です。しかし、時間がかかったけど、1番は解けて本当によか ったと思いました。解いてないものにも面白そうなものがあるのですが、残念ながら時間切れです。ま た、次も解答したいと思います。

たくぼん
引越しやら解図ラストスパートの時期に森作品集を手がけたりして時間が取れず、 申し訳ない解答状況で心が痛いです。レベルがかなり高く(私のを除いて)解答者は大変かもしれません。

隅の老人B
10月12日現在の解答者は2名、これでは頑張った作者連が可哀想。
解けただけの解答ですが、少しは賑やかしになるでしょう。
本音は少し草臥れました。
宜しくお願い致します。

もず
かなり考えていたのですが、あまり解けませんでした。
全体的に重たい作品が多かったのは確かですが、(一番重たいのは私のだという話もありますが) もう少し解きたかったところです。
解けた作品もそうですが、解けなかった作品も含めて全体にレベルが高かった雰囲気がありますね。
特に第11番が解けなかったのは残念でした。