#17
2008年08月31日: 課題発表:入玉形(初形玉位置=七〜九段目)(協力詰)
2008年09月28日: 投稿締切
2008年10月01日: 出題
2008年10月28日: 解答締切
2008年11月01日: 結果発表



課題発表

Fairy of the Forestの作品(協力詰)を募集します。
課題は「入玉形(初形玉位置=七〜九段目)」です。手数不問、受先可。
締切は9月28日(日)とします。
出題スケジュールを失念していて、告知が遅くなりましたが、作家の皆さん、よろしくお願いします。

投稿先:sakai8kyuu@hotmail.com
酒井博久



出題

 当方の手違いにより作品募集期間が短くなり、普段以上に作品不足を懸念していましたが、 前回に引き続き、たくぼんさんの複数投稿もあって、何とか数が揃いました。たくぼんさん以外には 太郎・七郎・赤土氏から各1作。楽しんでいただけると思います。
 解答締切は10月28日(火)。宛先→sakai8kyuu@hotmail.com
酒井博久



結果発表

 出題者・解答者とも、前回と変わり映えのしない顔ぶれとなりました。何とかジリ貧状態を脱したいものです。

竹野−2題だけですが、解答を送ります。

このような人が少しでも増えてくれるといいのですが・・・。

【今回の解答者】(敬称略、到着順、○は全題正解者)
○たくぼん、○神無七郎、○隅の老人B、竹野龍騎、赤土陽一
酒井博久



17-01 たくぼん



79銀成 68飛 同玉 77銀 78玉 88金 まで 6手

たくぼん−次とセットなのですが、中途半端なので客寄せが他にあればはずしてください。

☆という作者の希望でしたが、作品数が少なかったので入れてしまいました。

竹野−初手は銀で、金銀による詰み形、の第一感が当たりました。客寄せに適した作だと思います。

七郎−2手目で金を打った人にはこう言いましょう――「ヘボ将棋、金より飛車をかわいがり」。

赤土−初手はつい、成らずにしてしまいましたがそんなに苦しむことなく、通学中に解けてしまいました。
 玉がにゅるにゅるんと引き出される様はところてんのようです。

☆ところてん、ですか。面白い連想ですね。でも、次の連想には及ばない?

隅の老人B−バルコニーの窓から顔、 O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?
 簡単に解けて、奇妙なことを思い出す。

☆原語で見たのは初めてです。後半は古語含みなんですね。

たくぼん−う〜む、普通だ。

☆たまには「普通」もいいのでは?



17-02 たくぼん



99飛生 69銀 同玉 89飛 78玉 88金 まで 6手

たくぼん−形が美しくないのがちょっと・・・初手はまあいい感じですが。

竹野−初手の飛生が鮮やか。好みです。

七郎−いかにも「作り物」らしい初手ですね。本命がこれで前局は副産物?

☆当たりです。

隅の老人B−こちらはシラノ、人生に衣擦れの音? いいえ、駒音です。
 遠くに不成、闇にまぎれて、愛の囁き。

☆また、恋愛劇からの引用ですか?  理解するには教養が必要ですね。

赤土−左右の違いを見れば、最遠移動が見えてきますね。
 このぐらいの距離ならプチ家出ですね。グレズに済んだ(生のまま格好が変わらず)みたいですし。

たくぼん−初手の限定移動を引き立てるのなら玉位置は5筋でなかった方がよかったかも。

☆全体を右に寄せると、初手非限定になるのでは? どういう意味なんですか?



17-03 赤土陽一 「金鉱掘り」



98と 89玉 88と右 79玉 78と 同玉 88と 67玉 77と 56玉
57歩 55玉 66と 45玉 55と 36玉 27金 35玉 26金 46玉
56と まで 21手

赤土−11手目の変調がアクセントになっているかと思います。ちなみに、69歩は6手目に68玉から99へ還元するのを防いでいます。

たくぼん−限定出来る順を追えば自ずと見えてはくるが、中段での詰め上がりは予想外でした。

七郎−地下に鉱脈がなかったので山に登った…のかな?(題名と手順が合っていないような……)
 ちなみに、89歩は不要ですね。

☆これは痛い。すぐ判る所だったので、出題前に気づくべきでしたね。

隅の老人B−金鉱は何処?、端だと思って追っかけた。 一攫千金、濡れ手に粟、そうは問屋は卸さない。
 苦労しました、題名に騙された。

☆題名が謎? 作者の意図は以下のとおりです。

赤土−前半は解きほぐすだけで簡単ですが、後半は詰め上がりが見えないと苦労するかもしれませんね。
 ちなみに、タイトルの金鉱掘りは、還元玉目指してと金(贋金)を追いかけるのではなくて、金(本物)を目指して下さいと伝えるつもりでつけたものです。

☆私が本図を見て真っ先に思ったのは、18は「と金」がいいのでは、ということでした。18を金にするなら88・78も金にすればいいのに、とも思いました。上記のような意図とは、思いもよらず。



17-04 神無太郎



28銀 同玉 19銀 同と上 18金 同と右上 27金 同玉 28銀 同と右上
37金 同と直上 36銀 同玉 27金 45玉 36金 34玉 35金 23玉
24歩 13玉 23歩成 14玉 24金 まで 25手

太郎−カピタン展示室 No.22 金少桂作「15パズル」に触発されて作ったもの。

☆「15パズル」というのは、4×4=16マスのボードの上で、15枚のピースをスライドさせて、所定の配置を達成するパズル。 かの高木貞治博士がこのパズルについて考察したエッセイ(?)を読んだ記憶があります。
 本作も1つ空いたマス目を利用して守備駒をずらしていきますが、そのための金銀の打ち分けが考え所です。

赤土−玉を48や38に脱出させてしまいなかなか見えてきませんでした。よーく見ると、45に穴があるし21に香がいるんだから、この脱出口に目が向いてもよかったんですが…暗中模索というよりはむしろと中模索といった感じですね。

隅の老人B−籠の鳥を連れ出すのには、お金がかかる。少し残念は21香、かな。

たくぼん−なぜか暗算で解けた。金打と銀打を見事に限定しているのに感心。最後は銀と思ったのだが・・・。
 ただ21香は太郎さんらしくはない(笑)

☆私も21香は気になったのですが、この作者が置いているのだから・・・と、推敲を勧めるまではしませんでした。

七郎−収束のためだけに香は配置したくないですね。私なら下図のようにします。

協力詰 25手

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・vと 歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・vとvとvとvと|六
| ・ ・ ・ ・ ・vとvとvとvと|七
| ・ ・ ・ ・ ・vとvと ・vと|八
| ・ ・ ・ ・ ・vとvとvとv玉|九
+---------------------------+
持駒:金4 銀4
☆収束が少し変わって、21手目から34金、14玉、15歩、同と、24金まで、ですね。駒数も減るので良案と思います。
 やはり作者には再考を促すべきでしたね。



17-05 たくぼん



38歩 27玉 37歩 26玉 27歩 16玉 17歩 同角成 26歩 同玉
27歩 37玉 38歩 27玉 28歩 16玉 37歩 27馬 17歩 26玉
27歩 17玉 39角 28金 同角 16玉 26歩 同玉 27金 まで 29手

たくぼん−ありきたりですが、コンパクトに纏まったので。

隅の老人B−角は動けないし、歩だけじゃ詰まぬ。さて、どうして駒を取るのだろう。
 角が取れたら、後は簡単。でも苦労しましたね。

赤土−18手ぐらい進んで、駒が一枚足りなくて、はたと止まってしまいましたが、角を成らなければならないとは…持ち駒が歩ばっかりだと、つい生で応手したくなります。

☆攻方の角が受方の飛によってピンされているので、38に合駒を打たせてもそれを取ることはできません。となると、27に合駒をさせてそれを28歩で 取るという方法が浮かんできます。そこで、28地点を空けるため受方角を動かすのは必然となるわけですが、これを17に移動させた後、そのままでは 17歩、26玉という展開が出来なくなります。よって、17角成〜27馬の移動合ということに決まります。
 角を入手してからは、さらに金合を入手し、手際のよい収束につなげています。

七郎−最初はよく分からなかったのですが、長編で持駒変換や持駒増幅に使われる定番の手順の応用ですね。
 ちょっと薄味なので、角の入手まで後10手くらい粘れたら良かったと思います。

☆確かにもう少し粘りたい気はしますが、作者の主張はこのコンパクトさにあるのでしょう。

たくぼん−お約束の馬の取り方です。



17-06 神無七郎



29桂 同と左 16と 18玉 19歩 同と上 17と 28玉 27と 18玉
17と 同玉 18歩 16玉 17歩 同と 28桂 26玉 25と 27玉
39桂 同と直 26と 28玉 27と 38玉 37と 28玉 27と 18玉
17と 28玉 18と 37玉 49桂 同と寄 27と 38玉 39歩 同と左
37と 28玉 29歩 17玉 27と 18玉 28と まで 47手

七郎−たくぼんさんが「Fairy of the Forest」や「JEWEL BOX」で発表されていた「と金+桂」のシリーズに触発されて作ったものですが、 と金18枚が使い切れなかったのでお蔵入りしていました。
 たまたま今回の課題に合致しているのに気付いたので送ります。

隅の老人B−難しい。最初は、詰上がり図が全く想定できない。と+桂はまず駄目だろう。と+桂+歩かな?  9手目までは、まず、これだろう。
 これから先が長かった。24とが動き出した時の予想最終地点は26玉、これも見事に大外れ。
 解けた時の嬉しかったこと、こんなことは、滅多にないね。

☆苦労と感動が伝わるコメントですね。攻駒は15と・24としかないので、ある程度の手順は想定できるのですが、持駒の四桂をどう使っていくか 悩まされます。

たくぼん−"桂"と"と金"の組合せの詰上りかと思いきやさにあらず。難しさ抑え目ですらすら進んで収束で少し考えたくらい。
 4枚とも桂が消えるのは意表を付かれました。押さえるところは押さえてあるのがさすがですね。

☆18玉での詰上り形が想定できれば、(1)19地点を埋める、(2)29歩の打場所を空けるというポイントが浮かんでくるのですが、それを実現するまでの過程が流石にうまく出来ています。特に29地点を空けるまでの手順は巧妙です。

赤土−ギヴアップというより手を出していません。

☆赤土さん、今回唯一の無解作です。残念。



総評など

たくぼん−なぜか密集系やと金と歩の作品が多く集まりましたね。難易度もちょうどよいくらいではないでしょうか。

七郎−協力詰では入玉型は作り易いので、こんな風に傾向の似た作品が集まったのは不思議です。詰将棋作家にも集団心理があるのでしょうか!?

☆お二人の感想も似ていますね。

隅の老人B−だいたい、最近はフェアリーの出題が、ヘボの私には多すぎます。ルールもいろいろ、再確認しなくても良いのは、協力詰だけ。 で、まずは、酒井さんのところです。これが、なかなか解けない、嫌になりますね。

☆優先していただき恐縮です。「ヘボの私」はご謙遜でしょう。

赤土−解図力が乏しすぎる。バカ詰めへの愛が足りないのか(笑)

☆もっと多くの方の愛(解)がほしいです。